自分は世の中にどんな価値を提供したい?
ValueDesign.net / 田中伶
私自身は、後先考えずに行動するのではなく、自分の5年後の姿をしっかりイメージしたときに初めて、次の一歩を踏み出す勇気が湧いてくるのではないかと思っています。ただ無理に「行動しなければ!」と思って行動しても、とりあえずの達成感で終わってしまって、自分のなりたい姿に繋がらないことがほとんどだからです。
そもそも自分自身のやりたいことは自分の中にあるので、それをどれだけ掘り下げて、どれだけ真剣に向き合って、どれだけ自分の中で触れたくない過去に触れられるか?というところが大事なのに、なぜか皆、誰かがどこかで教えてくれるものだと思い込んで、外に「自分探し」へ行ってしまうんですよね。
世の中には、普通に大学に行って就職活動をして・・・と、決められた”次の一歩”が当たり前に用意されていますが、別の選択肢もあるんだよっていうことを私は伝えたいです。また、そういった選択肢をとろうとする人間を、経験や知識の豊富な大人たちが、皆で応援できるような仕組みができればいいなとも思っています。今私がやっているセミナーはゼミでの活動は、まさにその入口なんです。
今なんとなく好きだな、やりたいな、と思っているもの・・・沢山あるかも知れないし、やりたいことが全くないという人もいますよね。でもその感情は、色々なものに包まれているはずなんです。「語学ができるから」とか「こんなスゴい経験があるから」と、つい大前提にある”自分のできること”で様々なことを判断しがちですが、自分はなぜそう感じてきたのか?なんでそれがやりたいと思ったのか?を自問自答して、「今表面上に見えているもの」をはがしていくことで、これまで自分でも気付かなかった「自分の大切にしたいこと」が見えてくると思うんです。
そうなんです。こういう話をすると心理学みたいに聞こえてくると思うんですけど、こういったことは全部経営学に落ちているんですよね。だってこれこそが、企業の言う「ミッション」だったり「ビジョン」だったりするわけですから。
経営学って聞いただけで敷居も高いし、難しい言葉が沢山並んでいるイメージだと思うんですけど、実は個人に置き換えられることばかりなんです。
「向いている、向いてないではなくて、やった人は向いてるし、やらなかった人は向いてない。ただそれだけのことだよ。」
これは、私がメンターである川上先生に言われた言葉で、今でも私の心の中で響いています。
もし、「あの雨の中、チラシを配るのをあきらめていたら・・・」とか、「もし友達が楽しそうに遊んでいるのを羨ましく感じて、全部放り投げていたら・・・」と、未だに考えることがあります。自分がどこかでつまずいていたら、生まれなかった世界がある。見えなかった景色がある。 そう考えると未だに、3年前のあの瞬間「やってやろう!」と立ち上がった自分に感謝しているし、3年後の自分も、今この瞬間の私に感謝していればいいなと考えています。
私はただの学生だったし、何の力もなかったし、モチベーションだってそんなに無かった。セミナーなどに足を運んだりするような意識の高い学生でもありませんでした。 でもそれでも自分の将来を自分で切り開くワクワクをずっと感じていたかったし、同じ想いを誰かと共有したかった。そうして始めた取り組みが、結果としてビジネスとなっていました。
私にとって重要なのは、あの大きなプロジェクトに関わったとか、あの有名な経営者と友達だ、ということではありません。それよりも、今目の前にいる人間が自分と出会うことによってどれだけ変われてその人がもし自伝を書いたとしたら、自分は一行くらい登場するのか?ということのほうが、私にとっては大切に思えるんです。
学生時代にしかできないことは「絶対にない」と思っています。「学生時代にしかできないから学生のうちはこれをしよう!」ではなくて、10年後・20年後、これから先「自分が社会人になってからも今やりたいことをやりつづけるためにはどうすればいいか」ということを考える方が幸せだと思うからです。
去年、大学の卒業旅行に行く予定だった5日間のうち、1日の1時間だけ自分の大好きな女性社長に会えることになって、一人だけ卒業旅行のキャンセルをしました。周りから「旅行は今しかできないのに・・」「仕事なんてこれから先いくらでもしなきゃいけないのに」と言われて悔しかったけれど(笑)「今しかできないなんて思っているから、今しかできないままなんだ」と言い聞かせていました。
そういった選択をしていると、だんだん自分が一人ぼっちであるように感じてしまうのですが、 そのとき旅行をキャンセルして会いに行った憧れの女性社長に「孤独になっているのは成長している証拠。自分がお付き合いをするステージが変わっているだけ。」と言われたのを覚えています。
なので、今しか遊べないから今遊ぼうということではなくて、10年後もそうやって遊んでいられるためには今何をしなければならないのかを考える時間こそが、「学生のうちにしか出来ないこと」。新しい世界で沢山の刺激をもらうことも一つですが、自分が世の中でどうやってお役に立ちたいのか?そのために今何をインプットしなければいけないのか? 周りが遊んでいる間に、自分が向き合うべき問題は何か?・・・沢山の出会いを通して学ぶことが沢山あるからこそ、しっかり自分と向き合うために時間を使ってほしいと思います。
最後まで読んでいただき、有り難うございました。