ビジネスは現代版の戦(いくさ)である
ティーコネクション・ホールディングス / 冨田 賢
大学1、2年生の頃は、ヨットに乗ったり飲み会に参加したりと普通の大学生活を送っていました。 しかし、ただ漫然と過ごす日々に疑問を感じ始め、2年生の終わり頃から大手総合研究所で翻訳のアルバイトを始めました。当時、民営化や道路公団の料金問題 が話題になっており、イギリスのシンクタンクが、そういった事項に関する論文を盛んに出していました。その論文を翻訳する中で、経済学が現実社会で役立つ というものということがわかり始め、経済学、中でも、金融・投資に関わることに興味が増し、大学3年生から金融論のゼミに入ったり、他学部も含め金融に関 する授業を全て受講したりしました。私は慶應義塾大学の総合政策学部出身で藤沢にキャンパスがあったのですが、経済学部のある三田にまで通って授業を受けていました。大学3年生の時に私が書いた論文が湘南藤沢学会から優秀論文として取り上げられ冊子にしていただきました。その時に論文に書いたことを、卒業 後、立場の違いはあれ、ずっとやっているという感じです。その論文が私の人生を方向づけたと言えます。学生時代は勉強すること・自分が考えたことを論文と してまとめることがすごく大事であると思います。
大学の勉強など全く意味がない、企業に入ってから教育してもらえればよいという考えは、もう捨てたほうがよいと思います。 高度経済成長期は就職してから企業の色に染まればよかったのですが、今の時代は自分の頭で考え自分の足で着実に歩くことが極めて重要であると思います。こ のことを学生時代からしっかりと考え続けなければいけません。この考えがなければ、大企業に入ろうが、ベンチャー企業を起こそうが大成できないと思いま す。大学時代の4年間というのは人生の中で最も柔軟で色々なことを吸収できる時期であります。この時期を充実したものにできるかどうかで今後の人生が全く 変わってしまうと思います。入学した大学は、あまり関係ありません。その後の努力によっていくらでも逆転が可能です。社会人としての生き抜く力であるコ ミュニケーション能力であるとか、自分の考えを明確に持ってそれを貫き通す粘り強さなどをしっかりと意識することで10年20年先の人生が大きく変わって くると思います。
学生時代はできるだけ多くの本を読むことが重要であると思います。 読まないかもしれないということで本を買わない人と、読まないかもしれないけどとりあえず興味のある本を買った人とでは、その後の人生で取り返しのつかな いくらいの差ができてしまいますね。私自身は高校生の頃から毎月かなりの額の本を買い込んでいました。その当時からの読書量が今現在、原稿を読んだり書い たりすることに活きていると思います。学生時代には自分の専門分野である金融に関する本は、主だったものは、ほぼ全て読んだように思っています。私は初め にブラウン・ブラザーズというやや特殊な米国の銀行に、NY本社に面接に行って、入社したのですが、数年に一度しか日本人が採用されない中で見事採用して もらうことができました。学生時代に金融など自分の専門に関する本をたくさん読み、自分なりに限界まで勉強したという達成感があったので相応に自信を持つ ことができたのだと思います。ラストワン(最後の一人)に選ばれるには、ただなんとなく得意なだけではいけないと思います。圧倒的な強み、つまり、自分は絶対に負けないという部分が必要であると思います。学生時代は幸いなことにたくさん自由な時間があるので、できる限り読書するとよいと思います。