ビジネスは現代版の戦(いくさ)である
ティーコネクション・ホールディングス / 冨田 賢
私は、先ほどもお話したように大学卒業後、米国の銀行に入社しました。 その後、色々とあってベンチャーキャピタルの会社に入社し、フューチャーベンチャーキャピタルの立ち上げメンバーとして参画し株式公開を達成しました。上 場してキャピタルゲインを得ることができたために、2001年には京都大学の大学院経済学研究科に入学して、勉強し直すことにしました。その後、大阪市立大 学の大学院で専任講師として教え始めました。社会人向けのベンチャー起業家養成に取り組み、日本で最初の「ベンチャーキャピタル論」の授業を受け持ちまし た。他には、「事業計画書作成指導」等も受け持っていました。大阪市立大学以外にも別の大学で教鞭をとる誘いがいくつかあったのですが、またビジネスの世 界へと戻ることを決意しました。大学を退官後は住友信託銀行の運用部門で管理職を務めることになりました。しかし、私自身が、より大きな決裁権を持つため にはあと10年から15年がかかってしまうため、その間もっと自分の能力を伸ばすことができるのではないかと思い、自由に自分の考えで、物事を動かしてい きたいと思い、現在の会社の社長に就任しました。
私自身は自分が何をしたいのか、何をすべきなのかということを常に考えていたので、あまり迷いはありませんでしたね。 ひたすら前へ進むという感じですね。ただ、国公立大学の専任講師を辞める時には周りからの反対はたくさんありました。そのまま続けていれば、文系の専任教員になっていたわけですので、教授へのレールも引かれていたと思いますが、論文を書いたり講義をしたりするだけでは世の中に対するメッセージ性、影響力が 弱いと思いました。私自身が1人称の「player」として、能動的に何かを動かしたいという思いがありました。私はよく講演会やブログなどで「ビジネス は現代版の戦(いくさ)である」と言っていますが、生きるか死ぬかの世界の中でこそ自分の能力も磨かれていき、ストレッチ/リーチも伸びると思っていま す。私自身、やはり自分自身が物事を動かしたいという思いが強いように感じます。
まずは、自分が生きた証をなにかしらの形で残したいという思いです。 そして、自分は社会に対して何ができるのかという思いです。私は、自分の頭で考え、自分の足で動き、物事を動かして、社会や経済・世の中をよくしたいとい う思いが人一倍強いと思います。その結果として、自分の人生が充実してくるし、経済的にも豊かになっていくと思います。そのためなら、どんな苦労も厭わな いし、どんなに責任が重くなっても構わないと考えています。今の若い人は苦労をすることを嫌う人が増えているように感じますが、私は買ってでも苦労すべき であると思います。苦労してでもその後の成果が大きいかどうかが重要であると思います。死ぬ気でやっても、そう簡単に死ぬことはないので、それをいかに続 けるかだと思います。あとは、やはり生まれ持った性格ですかね(笑)。性格、その一言に尽きるかもしれません。
当社が、諸々事情があって苦境に立っていた時期に、会社を立て直して成長させていくために、社長への就任依頼があり、自分の能力を行かせる場だと思って就任することを決めました。
まず、会社の社長になってよかったことは、何事も自分の考えで決められること、つまり、自分の価値基準に基づいて判断が可能なことであると思います。外部 に対して情報を発信する時にも、自分の考え・個性でアピールすることができます。また、等身大の自分で勝負することができるという点も挙げられます。事業 がうまくいってもいかなくてもその責任は等身大の自分にあります。私は、自分の実力以上の会社経営はできないと思いますし、うまくいくかいかないかは自分 の実力であると思っています。会社を経営することは、等身大の自分で生きることであると思っています。