起業=ストレスフリー
有限会社ビジョンブリッジ / 橋本 美智子
ATMフォーラムに携わるときに、『この団体は10年存続したらATMフォーラムはその役目を終えるので、その後のステップは自分で考えなさい。』と言われたんですね。次は何にしようかと考えたときに、自分はジェネラリストとしての限界を感じていて、今度は専門性を持った職業に就きたいと思いました。そのときちょうどブームだったのですが、英米式の会計をベースに国際標準を図ろうということが6〜7年前言われていて、それなら私も、グローバルなライセンスを取ろうと考えて、シカゴで米国の公認会計士の試験を受けました。 それでパスして、最初は監査法人とか、公認会計士の事務所に入ろうと思いました。有り難いことにいくつかオファーもいただいて、自分でもどうしようかと思ったとき、自分の気持ちに正直になろうと思ったのです。当時40半ばになっていたので、『ボスの言うことを聞いて仕事をするのは嫌だな』と思ったのです。 それで会社を作ることにして、自分に何ができるのかを考えたときに、過去にやってきた事務局管理の委託業務ということがありました。ですから、私の場合は、『お金儲けをしよう』とか、『こういうビジネスアイデアがあるから、これを用いて社会のためになることをしよう』というような壮大な考えがあったわけではなくて、『人に使われるのがイヤだな』という単純な気持ちですね(笑)。 『自分の気持ちに正直になる』ということで、『自分で決めたことだから結果に対しては100%自分で責任を持つ』ことですけど、そうなるとストレスはあまり無いんですよ。私は、人生で今仕事しかしていない状況なんですが、それが苦しいかっていうと、自分がしたいことを自分が快適に感じるスピードでやっていて、その中で自分が学んでいって、やはり成長していることを実感できるのです。客観的な結果も見えるようになっています。もちろんいつでもお客様に最大限に満足していただける結果を出せているわけではないのですが、その場合でも、有り難いことにお客様は長い目で見てくださっています。そして自分もスタッフに対しては長い目で見ていて、研修制度などを実施しています。 人を雇用するというのは、その人たちに安定を保証するということなので、その意味でいえば、社会に少し貢献しているのかな、という風に思うことがあって、私の使命は社員が一生安心して働ける会社を作ることと、一生有用とされる社員を育てて行くことだと思っています。
両親は和歌山にいて、今はバラバラで住んでいます。結婚は若いころにしましたが、離婚しました。 私としては、非常にいい結婚でした。けれども最終的には、仕事とハウスワイフとしての生活を両立できなくて、自分の仕事と、自分の趣味、これは生け花をやっているのですが、それらをどうしても優先してしまう自己中心的(笑)な生き方だったのです。自己中心的なのですが、それがやっぱり自分にとってはハッピーな生き方だったので…自分にとってはストレスのない生き方なんですけれども、周りはストレスを感じるらしくて(笑)よく職場でも『免罪ランチ』(笑)を振舞ってフォローをしています。 結婚した相手は学者だったのですが、物事に非常に誠実に取り組む人でした。いろいろなことを学び、今でも感謝しています。自分の経験を踏まえ、結婚にはネガティブなイメージは持っていませんので、他の人にも一度は結婚することをお勧めしています。 私は呑めりこんでしまうタイプだったので、器用に両立することはできなかったのですが、今の若い人なら、男性でも家事を分担するというのが一般になっているので大丈夫なのだと思います。ただ、歳を取っていくと仕事に責任が出てきたり子供を持つようになったりと、またいろいろな問題が出てきます。私は起業する前に比べて、お給料は半分くらいになってしまいましたが、それで不幸かといえば全然そうではありません。 結局自分が会社のオーナーであり、会社を大きく育てていくことによって、最後はより大きく、精神的に、あるいは社会的にリッチになれるのです。世の中あまりお金だけの世界ではないと思います。一方、若いうちには会社に入って仕事を覚えていくというのも必要だと思います。このあいだ若い経営者の方にご相談を受けましたが、あまり若すぎるときに起業してしまうと、自分より年上の人たちをどのように使うのかということに慣れていなくて、悩んでいるということでした。
ITの世界では一時は成功してメディアで華々しく取り上げられた会社でも結局倒産してしまったりと、難しいですよね。結局は人に好かれるか好かれないかというところだと思うんですよ。もし,、値段が安いというところで勝負していたとしたら、ほかにもっと安いところが出てきたらお客様は離れていってしまいますよね。そんな中でどのようにして会社を存続させていくかといえば、やはり「その会社のブランドが好き」ということを、お客様も従業員も思ってもらえるかどうかだと思うんですよ。
値段の面では少し高くても、「ここはいつもお世話になっているところだからいいか」と思ってもらえれば、会社は存続すると思うんですよ。人間であり会社であるので、「100%好かれる」というのは難しいですけど、いかにそれに近づいていくかというところなのだと思います。