自然の流れの中で起業
ハリーヒルファーム株式会社 / 小針 一浩
それ自体が楽しかったからです。
自分の肌に合っていたというか。ITを使って効率化していく仕事というのは、お客様によっても全然違うんですよ。下手をすると毎回初体験というか、ルーティンにならないですよね。そうして毎回新しい発見があるっていうのが、自分に合ってたかもしれないですね。
どれも大事ですね。もし自分がこれから起業されるという人にアドバイスをするとしたら、「ベンチャーはやらないように」と言います。
「自分はこの技術が好きなので、この技術で起業する!」って人は、ベンチャー企業に就職したほうが良いですね。営業が好きな人もベンチャー企業に就職したほうが良いですし、事務が好きっていう人は、大手に就職したほうがいいと思います。「ベンチャー企業を起こす」と言うのは、全ての仕事を自分でしなければならないっていうことで、その中には本来自分がしたくない仕事も入っているかもしれないですよね。
金策とか人材確保とか、IRとか、お客様とのトラブルとか、何より競合他社が 出てくるかもしれないですよね。
もともとやりたかった仕事がたとえば「技術」だったとしても、ベンチャーを立ち上げて、自分がやりたかった部分は何割なのかと考えると、実際には微々たるものなわけですよ。だから、漠然と「起業したい」という思いでやるなら起業しないほうがいいと思います。会社経営をやりたいという強い想いが大切です。事務も技術も営業も自分ですべてやってやる。どれも大切な仕事なのです。
企業再生については、斜めになってしまった会社の効率化をすることによって、立て直せた会社があったんですね。
そういった流れの中で、自分たちの会社の中でも事業としてやっていこうということになったので、もともとは「効率化」というところから始まっているわけです。やはり会社の中にはムダにお金を使っているところもあるわけじゃないですか。損益計算書の中でまずコストを下げていかないと、モノの原価が分からないじゃないですか。固定費・変動費も分からないし、損益分岐点、どこで利益になるのかというのも分からないんです。
そこを明確化するためには効率化していくというのが大切なんですね、下げられるものは下げていくっていう。
それだけで利益が出る可能性もあるんですよ。もしそれで利益が出なければ、売上を上げていくしかないですよね。そこは「収益性」になってくるわけです。「収益性」というところで僕が期待しているのは、サービスを提供できるという面で、スターブランドという会社なのです。「ブランディング」というものを通して企業の収益性を上げていく。
お金の面でいえば二つなわけですよ。コストを下げていくっていう面と、売上を上げていくっていう面と。コストを下げていくというソリューションを提供していくのがハリーヒルという会社で、収益を上げていくという面を担当するのがスターブランドになります。
そうですね、新しいことにチャレンジしてみようという気持ちでした。
もともと浜口さん(スターブランドの代表取締役)とは一緒にスポーツとかして遊んではいたけど、ビジネスを一緒にやっていたわけではなかったんですよ。そこに村尾隆介(スターブランド)も一緒にいて、3人で遊んだりしているうちに、浜口さんが3人で一緒にできるビジネスはないかということを考えていたみたいです。そこで、それぞれが持っている分野っていうのをうまく活かせる形でできるのは、「ブランディング」だと彼は考えたわけです。その当時小さな会社に「ブランディング」っていうのはあまり考えられていなくて、書店に行ってもその類の本はほとんど置いてなかったです。そういうゼロベースに近いところからはじめて、「ブランドって何?」「ブランディングって何?」と問いながら、形にしていったのです。
今はすごく「ブランディング」というのが言われるようになって、良かったなと思いますけどね。小さい会社ほど、ブランディングが出来ていないと下請けから脱することができないという事情がありますから。でも、ブランディングを通して自分自身が強くなっていくことによって、収益が上がって、よりお客様に喜んでもらう形を考えるためのお金や時間を費やせるようになるわけじゃないですか。
小さい会社ほど、そういう問題が大事だと感じるようになりましたね。
メンバーの力というのが大きいと思いますね。なかなかまねできる素材ではないと思いますね。
浜口さんにしろ、村尾君にしろ、めったにないものを持っていると思うので。あとは小さな会社をブランディングしようという会社はあまりないんですよ。ブランディングとマーケティングというのを考えると、マーケティングをやっている会社はたくさんありますが。
マーケティングをしている会社がどこをターゲットにしているかというと、大企業なわけですよね。そこではやはり有名どころで言うと電通さんとか博報堂さんが強いわけじゃないですか。マーケティングに関しては、大企業は全部彼らの力を借りて、お金を払って請け負ってもらってるっていう形で。けど、コンサルティングの方は、自分で力をつけていってもらうっていう面で、「請負」ではなくて「支援」なんですね。マーケティングの方だと、お客様にとって、お金の面で、簡単にはサービスを受けられないというのがあると思うんですが、スターブランドの場合は、小さい会社さんでも来ていただけるという強みがあります。
楽しいという話をすると、部分部分じゃないんですよ。楽しいと感じるのは、やはりお客様が喜ぶ姿を見ることですね。お客様の問題を解決して喜んでもらうっていうのが楽しいですね。
苦労というところでいうと、全部でしょうね(笑)。一つ一つ毎日が苦労ですね。
苦労は気にしない、そうじゃないとやってけないと思うんですよ。しんどい思いを楽しまなくっちゃというのがありますよね。たとえば、マラソンは途中のプロセスって本当に苦しいですよね。ビジネスも途中のプロセスって本当に苦しいと思うし厳しいと思うんですよ。課題をクリアすればまたその次の課題があるという繰り返しですよね。でも一つのステップをクリアすると一つ成長できますよね。それが楽しいんだと思いますね。