自分が許容できるリスクの中で選択し、生きていく起業のリスクについては、どう思われますか。 「起業しな…
M&R Partners Pte. Ltd. Managing Director / 三方麻琴
起業のリスクについては、どう思われますか。
「起業しないことがリスク」という話もありますが、わたしは必ずしもそうだとは思いません。起業すること自体は、やはりリスクが高いことだと思いますし、一旦起業してしまうと、それから就職することはとても難しいです。やはりリターンが大きいほど、リスクは大きいということでしょうね。では、安定志向でサラリーマンになることが良いかと言えば、それは安定志向の度合いにもよるのだと思います。資本力、クオリティーなどの強さで言えば、大企業にしかできない仕事もあるでしょう。それは自分でやろうと思ったら何年かかるか分からないでしょうし、成功確率もかなり下がると思います。そうであれば、社内で働いて、出世という形の成功報酬をつけるのか、出来高という具合を更につけるのかが重要ですね。そこで力を発揮できる人は、どこに行っても生き抜けるのだと思います。
私はサラリーマンより、起業家や経営者の方がすごいと思ったことはありません。それぞれの送りたい人生の中で、自分のリスクを把握して、それが良いのか、許容できるのか、できないのか、ということを考えてやることが重要です。一番危ないのは、安定志向の人でリスクを見ていないことです。実際にそういったケースは多いです。つまり、会社員になって働くことの見えざるリスクというのを把握した上で働くべきですが、とりあえず企業に入って、言われたことだけやっていれば良いということは、非常に危険な考え方です。言い換えると、あなたがその企業が倒産した時に、他の会社にとって付加価値がある存在なのですか、ということです。今は本当に大きい会社が潰れる時代になっています。その中で、仕事で成果を出すなどして給料を上げるってことができないという人は、その事実がリスクですよね。
リスクの取り方は、自分の生きたい人生によって変わってきますが、必ずしもサラリーマンが悪いというわけではありません。起業はリスクが大きいので、起業して失敗して、サラリーマンよりもひどい人生送っている人もいます。私も事業で失敗したときは、普通の新卒社会人の人よりもお金がありませんでした。大事なことは、起業すること・しないことのリスクをしっかりと把握して、自分が許容できるリスクの中で選択し、生きていくことではないでしょうか。
必ずしも起業することが大事なのではなくて、挑戦する精神の方が大切ということですか?
今の経済の中で付加価値を持つということが、どういったことなのかということは時代によって変わってきます。アントレプレナー精神を持つことは良いと思うけれども、今は個人の力の時代なので、組織の中で力を発揮できる人間は、起業して組織の外でも力を発揮できると思います。もちろん、その人の持つ能力というかポジションによっては必ずしもそうではありません。技術力だけ持っている人が社会に出たときに、1人でできるかと言ったら、そうじゃないですよね。例えば、スーパーSEのような人材がいても、営業力がないと仕事をとれないですから、技術を生かしようがありません。ですが、他の会社でニーズがあるから仕事に困ることはないでしょうしね。
ここで重要なことは、どこか突き抜けた力、どこにいっても求められる力を持つこと自体が、起業するリスク・しないリスクを軽減することができる、ということです。学生の方には、ぜひ個の力をつけることを強く意識して、社会で強く生きていってほしいです。
今後のビジョンを教えてください。
今後、資産運用は日本だけで考えるべきではなく、世界を見た上で、どこにお金を置いておくかということが重要になってきています。そのために、資産運用に関する知識や考え方を学ぶ教育の機会をまず自分が作り、そこから自身で資産運用がしっかりできる人材を作っていきたいと考えています。また、わたしが教えた方の中から、教える側の人も出てくるでしょう。教える人が増えていけば、最終的にはそれだけ多くの人に資産運用教育が行き届くことになります。そうやって、資産運用教育の機会が増え、日本のお金の教養が底上げに少しでの貢献していきたいと考えています。
老後の資金始め、人生で必要な資金を作っていこうということはとても切実な問題であり、とても大事なことです。わたしが提供するものは、それら資金を作っていくための学ぶ機会であり、それは人生を考えるチャンスにもなります。わたしはあくまでお金という切り口ですが、一番大切なことは、お金をきっかけに、自分の人生を見直してもらう、ということです。少なくとも、今の日本という経済社会で生きている人たちは、お金はとても大切なものですので、その大切な「お金」について真剣に学ぶべきだと考えています。わたしの活動は小さなものですが、いろいろな人が関わっていく中で、それが大きな波になり、「お金」と真摯に向き合って学ぶ機会の創出と普及に繋げていきたいと思っています。
the Entrepreneurを読んでいる学生に、メッセージをお願いします。
仕事とは、人と人が関わるものですので、そこには血が通っています。ですので、仕事のスキルだけではなく、自分の人間性を高めることの大切にし、人を大切にしながら仕事をしていってほしいと思います。そのためにも、色々な人に会って様々な経験をして欲しいですね。海外に行くのも、その1つの方法ですよね。海外に飛び出すだけでも、色々な人が会ってくれますし、日本にいるよりもはるかに多くの新しい経験をすることができます。そうすれば、それだけで海外に行ったことのない人たちと差別化できます。とにかく新しい経験をして欲しいです。
今の時代は、本を読んで、文章を読んで、テレビをみて、インターネットで情報に触れ、人の話を聞いて、知った気になりがちです。しかし、「知っている」ということは、「経験した」ということなんです。ですので、たくさんの経験をしてください。できるだけ、他の人がしなそうな経験をしてほしいですね。とにかく、何でも知ってるって思わないで欲しいです。それは、とてももったいないことです。普段会わない人に会う、普段行かないところに行くなど、自分にとって未知の経験をしてください。海外に行くときは、こんな温度なんだとか、空港出るとこんな感じなんだとか、こういう人達がいるんだとか、自分の肌で感じることを大切にしてください。
成功者と言われる人たちは、何事も知った気にならずに、一つでも何か経験から学ぼうとしているということを、色々な成功者に会う中で感じました。ぜひ学生の方は、自分で直接見て、感じて、経験することを大事にして、どんどん突っ走っていってほしいと思います。色々な経験や活躍をする中で、いつかわたしと出会うこともあるかもしません。その時にはぜひ、何か一緒にやりたいですね。