日本のSBIから世界のSBIへ
SBIホールディングス / 北尾 吉孝
その知識は様々な事業を運営する上でとてもプラスになりましたよ。例えば中国の歴史を読んでいると、君主がどのような政治をしたら国が滅びるとか、どうやったら国が栄えるのかとかね。チャレンジとその結果がつぶさに書かれています。暇がある訳ではもちろんないのですが、本は本当に沢山読むようにしています。本の読み方としては、思想の遍歴を知りたければいろんな人の本を読むより、全集などで同じ人の本をずっと読みこんでいくといいと思います。
思考の原則は、「長期的な思考」「多面的な思考」「大局的な思考」の3つがあります。
「長期的な思考」とは、未来のことを長期的に考えるという意味だけでなく、過去に遡って考えるという意味を持ちます。長期的な視点で考えていく際には、過去の事例から類例を考えれば理解しやすいです。「温故知新」という言葉が今でも使われているように、古典や歴史を勉強する意味がここにあります。
「多面的な思考」とは、色々な角度から考えることです。自分の意見が正しいと思っていることは大きな間違いなんですね。だから私は、会議中などポストや地位に関係なく様々な意見を聞くようにしています。若い人達にも意見を聞きますが、時々なるほどねっていう意見もありますね。若い人がもっているその感性を発揮してもらいたいんです。
インターネットの世界なんて我々は40代の時に初めて触れましたし、若い人達は小学生から触れています。だから若い人の感性は聞いてみる必要があるのです。 「大局的な思考」とは、何事においても、枝葉末節にこだわることなく根本を常に把握し、考察するように努力することが大事ということです。「着眼は大局、着手は小局」という言葉があるように、まずは、全体を概観することが大切ですね。
経営者にとって一番大切な事、それは「会社を存続させること」なんです。長く存続させる為には何が必要なのか?それは、短期的な利益ばかり追いすぎず、長期的な物の見方が必須になってくるのです。しかし、高度に文明が発達し、社会が複雑化した現在、先を見通すことは簡単なことではありません。そこで重要なのは、「物事の本質を見る」という原則なのです。
国内で投資対象となる会社が減ってきているんですよね。魅力のある会社が減っているのです。
21世紀はアジアの時代です。先日、中国の清華大学の百周年記念式典に出席してきましたが、そこで胡 錦濤国家主席は、「21世紀は偉大な中華民族の復興だ」と繰り返し述べていました。世界で欧米が中心的な存在だったのはこの20世紀の100年間、ごくわずかな時間だけだったわけです。そのようなアジアの時代の中で日本にはある種の役割というものがあるんですね。