『やらねばならない』という使命感に突き動かされた
株式会社ジョブウェブ / 佐藤孝治
元々ジョブウェブを仕事としてやるというイメージが湧いておらず、後輩に運営を引き継いでサポートをしていました。しかし、スタッフはボランタリーベースなので、「アルバイトがある」「ゼミが忙しい」などの理由でスタッフを続けることが出来ない人が多いという問題がありました。そして引き継いだ後輩が就職するタイミングになり、運営者不在の状態になってしまいました。
ええ、そこでジョブウェブを閉鎖するか、アンダーセンを辞めて運営に専念するかという決断を迫られる事になりました。最終的にジョブウェブには自分の役割があると思い、会社化してビジネスとして回る仕組みを作った上で、しっかりとした運営体制を確立しようとと決意し、1999年の10月に株式会社化しました。
今思えば当時20代という事もあってリスクの認識は鈍かったかもしれません。「やらねばならない」という使命感に突き動かされて起業しました。当時ジョブウェブは学生同士が集まって議論をする場でお互いに切磋琢磨できる環境があり、かつ就職活動に関する情報も集まっていて、学生にとって非常に価値のある場でした。また、毎年会員の学生さんが「就職活動においてジョブウェブがとても役に立ちました」と感謝のメールを送ってくれた。それを読んでいるとやはりジョブウェブは価値があり、求めてくれる人が多くいるという事に確信が持てた。これが力となって、継続することができたと思います。
自分自身の就職活動をしている時に感じていました。大人と学生の情報量に差がある事に違和感を感じていました。基本的に大人は会社の良いところしか言わないので、最終的に学生がその会社で働くかどうか意思決定をするための十分な情報が提供されない。だからその情報を得るためにコミュニティ内で集めた情報を交換したり本音で語ってくれる大人との出会いを重要視していたため、学生同士の相互扶助と大人からのメッセージが上手く噛み合っていました。コミュニティーよって解決するという仕組みができていました。 会社化する際に、「どのようにビジネス化するか」という模索が始まりました。最初はバナー広告やメール広告というビジネスをしていましたが、模索を続けていく中で、企業の人事部に対して「優秀な学生を採用すること」を実現するためのコンサルティングとジョブウェブの学生を企業が情報を発信できるというサービスでした。企業と学生とのコミュニケーションのサポートをする事で、学生には「就職ができる」、企業には「優秀な学生を採用できる」というサービスを提供できるようになったんです
そうですね。このような活動を続けていく中で、学生と話をしていると、「この子はあの業界に決まりそうだな」とか「この子は苦労するかもしれない」ということがわかってくるようになりました。人は必ず成長するものですがその成長には時間と機会が必要なため、内定がなかなか出なくて苦労した学生が、頑張って努力をして良い具合に成長した頃には大半の企業が採用活動を終えてしまっているんです。そうなってしまう前に、学生達が将来若者や自分の子供に誇れるような大学生活を送る事ができれば上手くいくんじゃないかという発想があった。
私は「学生を沢山集めてふるい落すような採用ではなく、学生へ価値ある学びの機会を提供して頂ければ優秀な学生との出会いが増え良い採用活動に繋がります」というメッセージを企業に訴えかけています。このメッセージに共感し、ジョブウェブを通じて学生へ学びの場を提供してくれる企業が増えていきました。そしてジョブウェブに集まる学生も非常に意識が高く行動力があるので、他の就職サイトとは違ったポジションで、キャリア教育機関のような役割を果たすことで、ビジネスを発展していきました。
そして2010年1月に「<就活>廃止論」という本を上梓したのは、大学3年時から一斉にインターンシップを行うのではなく、大学1年次から一生懸命自分はこれをやりきったという学生生活を過ごそうというメッセージを伝えたかったからなんです。そのメッセージを具体的なサービスとして形にしたサービス「sfirm」を始動しました。1年次から将来につながる仕事に挑戦することができます。