『やらねばならない』という使命感に突き動かされた
株式会社ジョブウェブ / 佐藤孝治
そうですね。会社設立時には2万人ほどの会員がいるけれどもクライアント企業はゼロでした。ジョブウェブを使ってくれている会員にメッセージを伝えたい企業はいるだろうと考え、企業に対して「ジョブウェブという優秀な学生が集まるサイトに広告を出してみませんか?」と営業を行っていました。
そうなんですよ(笑)。ほとんど売れなかったんです。
そんなときある企業に「どうやったらお金を頂けますか?」という質問をした事があり、返ってきた答えが「我々の会社が優秀な学生を採用できるのであればお金を出しますよ」というものでした。「広告を買いたいのではない、自社の採用成功を実現したいのだ」ということに気がついた瞬間でした。会社説明会へのアドバイスや小規模の勉強会等の様々なアイディアを提案したところ、是非支援して欲しいということになり、プロジェクトが始まりました。この経験から「バナー広告よりも優秀な学生の採用が価値に繋がる」という事に気付き、それ以来、お客様から採用をより良くするというスタンスで徹底的にヒアリングして、コンサルティングするというスタイルが確立していきました。このようなスタンスで仕事をするようになってから、次第に仕事が増えていきました。様々な企業とお仕事をさせていただきながら、様々な業界の事を勉強することができました
就活スタート時から成長遂げて最も入社したいと思っていた企業に内定を頂いたり、当初、苦労しそうだなと感じた学生がジョブウェブのセミナーを経て内定を頂いた事もありますので、効果は実感しています。それからワークショップの参加者同士が結婚したりね(笑)。でもそういう出会いって結構多いみたいですね。
昔はそうでしたが、今はサービスの内容によります。諸先輩経営者から「学生のために本当にやりたい事をやるのなら学生からお金を取らないとバランスが悪いよね」と言われてきたんです。何故ならお金を取っているのは企業だけだと、活動が学生よりも企業寄りになってしまうという恐れがあります。できるだけ学生寄りの活動を心掛けていたんですが、リーマンショックが起きて採用の予算が減る事が明確に予測できました。今までは無料開放していた勉強会の継続が今後困難になる事が予想できたので、「学生が自らお金を出して参加するセミナーもあり得る」という結論に達し、僕たちが今まで培ってきたノウハウを最大限注ぎ込んだ有料の講座を開き始めました。「もし効果が出なかったら料金を全額返金します」という条件も付け、覚悟を決めて踏み切りましたね。
不安ですね。「安定した会社」というとこの先変わる事なく存続し続けるビジネスモデルが確立しているものですが、今の世の中では変わらない会社というのはむしろ危険で他の会社に取って代わられてしまう可能性もあります。逆に常に変化し続ける会社の方が実は安定していると思うんですよ。どの業界でも、自分たちが提供するサービスに疑問を持ってそれを変革するための創造的破壊ができる会社は強いと思います。ですから「将来にわたって変わり続けるDNAを持っているか」という視点を持って会社を見ないといけない時代ではないかと思います。
「どの会社に入ったら幸せか、安心か」という視点で会社を探すと絶対に見つかりません。それよりも「世の中にあふれている問題を解決するために自分に何が出来るか、そしてそれが出来る会社はどこか」という視点で会社を探せばいくらでも見つかるし、燃えると思います。企業側としても今のルールに従うよりむしろルールを良い方向に変えていく気概のある人を求めているんですが、そういった学生はなかなかいないのが現状です。
起業は問題意識や理想を抱えている人にとっては、それを形にするためのパワフルなものですね。最近では個人として活動する方も増えていると思いますが、会社化すればお金が集めやすくなったり会社という存在で外部からの信頼を得られたりとメリットがあるでしょう。また会社は自分の意志を未来に繋げられるツールでもあるので、自分が寿命で亡くなったとしても会社がその遺志を継いで存続するんです。次世代の若者たちに未来を託しながら会社を経営すればある種自分の寿命を延ばす事が出来る、素晴らしい仕組みだと思います。僕の場合自分の意志に共感して社員が増えていく事は、結婚して家族が増えるのに似た感覚がありますね。