with entertainment = 相手の期待を超えること
株式会社ドリコム / 内藤裕紀
良くも悪くも堅実だなって思います。僕らの頃はそこまで情報がなかったので本当に手探りで人に聞きながら起業していました。しかし今はいろんな起業の情報が溢れているので教科書っぽく堅実にやられている方々が多いとは思いますね。逆に言うと変な奴が少ない。
「知的ヘンタイ」が世の中を変えると思っているので、そういう人に魅力を感じます。初めて人に話す際に「おかしい」とか「流行るはずがない」とか言われるものこそが世の中を変えるサービスだと思います。
出来る限り「知的ヘンタイ」であり続けたいと思ってます。新しいサービスを提案する際に評判が良いと自信なくしちゃうんですよ。一方、「何言っているか分からない」と言われたら「いけるかも」と思います。
ソーシャルゲーム事業を始める際も「何言っているか分からん」と言われたんですが、1、2年後に「あの時の意味が分かった」と言ってもらえました。ドリコムで最初に成功したブログサービスの立ち上げの際にも「日記と何が違うか分からん」と言われて大反対されました。
いつも世間からズレたことをしているんですけど、それが面白いと思っています。「発明家として面白いモノを世の中に出したい」という思いがあるので、既に市場で認知されていることを自らやる面白さを感じないんです。
1つの事柄だけ見ていても何も分かりません。一見全く関係ないように見えるものが実は裏で繋がっているんです。その根底に流れているトレンドを読み解いて掴むことが非常に重要だと思います。
ソーシャルラーニングという事業を2年前くらいから始めました。当時はソーシャルゲーム全盛期でしたが、僕は別事象を見ていました。まずは、何でソーシャルゲームが流行っているのか。毎日同じゲームになぜ熱中し続けているのか。そこから疑問を持っていたんです。
ある日ゲーム屋さんに行った時に、店頭に並べられているソフトを見てみると、有名新作ゲームと同じ面積を資格とかの勉強系のゲームが占めているのを発見したんです。そのバランスに違和感を感じて調べてみると、DSのゲーム売り上げトップ50の4分の1が教育系のゲームでした。しかし、これはWiiとかPSではなくDSだけの現象だったんです。
また当時スマホが出始めていて、アプリのランキングを調べると上位に写真とか教育系のアプリが入っていました。ガラケーの頃には教育系なんて少しもなかったのに。DSとスマホに共通しているのは持ち運べてディスプレイのサイズが一定以上の大きさがあることです。ガラケーだとサイズが足りなかった。
それと単純なアクションのソーシャルゲームにみんながハマっていたのは、競争と協力の関係があったからではないか。そう考えたら単純にやりたくない勉強も競争と協力によってモチベーションが維持される可能性がある。
このように事象を共通化していき、スマートフォンで教育の産業は伸びるだろうと思ったんです。現に最近だと教育×スマホのベンチャーもたくさん生まれてきていますし。
学生起業家が増えたり減ったりするタイミングがあります。就活が氷河期かそうじゃないかが1つ要因としてあります。就職活動が売り手市場の時はみんな良い企業に入れるので学生起業家の数は減ります。やはり社会情勢は大きいと思います。デバイスが変わる時もあります。PCから携帯、携帯からスマホに移行する際には地殻変動が起きてチャンスが増えるので、「俺でも出来るんじゃないか?」と思う人が出てきて学生起業家は増えます。
また、学生で起業して最年少上場するような人が出てくる時は学生起業家が増えますね。みんなが分かるヒーローが生まれることが1つ鍵ではないでしょうか。アメリカでは起業家はヒーローなんです。だから起業家が多い
20代って言葉を聞くともう20代じゃないんだなと悲しくなりますね(笑)。それはさておき、今年の春の入社式に話したことをお伝えします。人生って複利計算なんです。仮に貯金した100万円があるとしたら、年率1%の利子でも30年経てばめちゃくちゃ膨れ上がりますよね。20歳、30歳の時に投資した時間によって40歳になった時の差はとんでもないことになります。若いうちに出来ることを後回しにすると複利計算分損をしてしまいます。なので、早めに自分に対して投資をすることが大切です。あなたは何に自分の持ちうる時間とお金を投資しますか。「何に」の部分をしっかり考えてください。いつか投資したものが返ってこなくなる年齢がやって来ます。その歳までに若いうちからいかに投資できるかが40歳、50歳の生活環境を決めるんです。
自分が起業出来そうか出来なさそうか判断する時に、知らないと判断できないことというのがいくつも出てくると思います。成功した起業家の方と身近に関わることによって自分との差が分かります。ネットやメディアの中だけで起業家を見るのではなく、リアルに会って話す機会を得ることが重要だと思います。就職したい人は大手企業のインターンを。起業したい人は小さな会社で社長の身近で働けるインターンを選んだら良いかもしれません。