草食系企業
株式会社ナイル / 土江 雄飛
主に派遣紹介サイトを取り扱う先駆けとなった会社でしたが、社員も少なく社長のワンマン体制だったのでかなり振り回されました。更に後発の同業他社が豊富な資本力をバックに広告をガンガン使って宣伝していたのでどんどん抜かれてしまったんです。かと言って私の会社は広告費がない為に広告を出せないので、広告以外の方法で露出を図らなければならなかったんですね。そこで当時はあまり浸透していなかったSEOを導入したところ、集客率がグンとアップしたんです。その貢献にもかかわらず会社側から報奨金として頂いたのは1万円だけでしたが・・・。
他方で関連会社の方に「私の仕事はそちらではどのくらいの価値があると思いますか?」と聞いたところ「1000万円の価値はありますよ」と言われたんです。そこから「独立すれば1000万円くらい稼げるんじゃないか?」という独立への思いが生まれ始めました。その後会社が買収されて組織が大きく変わってしまい、それに伴って社内の雰囲気も変わってしまった事もあって会社を辞めて独立しました。
技術開発のような事をやっています。開発が好きなのでゆくゆくはそちらにシフトしたいという思いもありますね。ブログ更新の過程で色々なサービスを見ていると、自分も作りたいという欲求に駆られるのです。
ワンマン体制がダメというわけではありません。良いところもあるしスタートアップの企業では社長がある程度ワンマンでることは必要だと思います。実際にそのお陰で会社が回って、社員は給料をもらえていたのですから。ただ、あまりにワンマンが過ぎると社員1人1人のフォローができなくなってしまうんです。社長の理念に共感して報酬も十分貰っている社員であれば社長に付いていくと思うんですが、そうじゃない社員も多いじゃないですか?夜は早く帰りたい社員だっているはずなんです。そういった部分でのフォローができていないと感じる事は非常に多かったですね。実際私も社長に急に仕事を振られてしまって自由度がなくなり、ストレスに感じたことが何度かありました。それらの点は反面教師にさせて頂いていますね。
独立してから辛かったと仰る起業家の方が多いんですが、私の場合はあまり辛くなかったですね。そもそも社長や上司に色々言われるのが嫌だったので、独立してからは気楽でしたね。本当に毎日が日曜日みたいでしたよ(笑)。ただ売り上げがあるからそう思えるのであって売り上げが厳しい場合はそうではないのかもしれません。私の場合は、起業前に勤めていた会社で担当していたSEO業務とホームページ作成業務を退職後に請け負うという契約を前社の社長と交わしていました。そのためキャッシュフローに関しては問題ありませんでした(笑)。
基本的にPRは一切していないですね。そもそもPRするかしないかは社長の考え方次第だと思うんですよ。会社の規模をいち早く大きくしたいと考える社長さんもいますし、私のように小さくてもいいからそれなりの暮らしができるような収入を得られる会社でありたいと考える社長もいます。
それに広告を出すと仕事が入り過ぎて回せなくなる可能性もあり、そうなると残業や徹夜が増えて仕事が嫌になるんです。それよりも社員たちが仕事もプライベートも楽しめる会社にしたかったんですよ。ですから依頼が来た仕事は行いますが自ら営業や広告を使って仕事を取りに行く事はしませんしそれは今でも変わりません。現在社員が2名いますが彼らには「お客様に『仕事を下さい』とは絶対に言わないように」と言ってあります。
それに自分から取りに行った仕事は値引き交渉をされたり等こちらの立場が弱いんですよ。そうなると社員にサービス残業を課したり給料を安くしなければいけないんです。大きい会社なら値引きしてでも沢山仕事を取ってくるのもいいかもしれませんが、私たちのような小さい会社の場合は見積もりを守らなければいけないので営業はしないんです。所謂「草食系企業」ですね(笑)。