草食系企業
株式会社ナイル / 土江 雄飛
私たちが行っているウェブ製作を仕事としている会社は他にもありますが、私たちのようにデザインがきちんと出来てSEOにも通じている会社ってなかなかないんですよ。他の会社も「SEOができます」と打ち出してはいるんですが、基礎的な知識だけなんです。私たちは売り上げの半分がSEOでもう半分がデザインですからね。その二本柱で実績も出しているのでそれが強みであり差別化が出来ている点です。ただ私たち以外でもSEOに通じている会社が世に出てきたので今後厳しくなる可能性もありますね。
また先程話に挙げた「草食系企業」である点もある種の魅力だと思います。仕事やお客様に対してガツガツしていないのでお客様にとっては仕事を依頼しやすい相手だと思うんです。それに製作会社ってお客様の会社にラフな服装で訪問したり、納期を守らなかったりと非常識な人が多いんです。私たちはそうならないように1つ1つの仕事を丁寧に行っていますね。実際他の会社の対応が嫌で私たちに依頼をくれるお客様が多いんですよ。だから服装、挨拶、メールの内容等どんな些細な事でもきちんと行っている事が集客に繋がるんだと思いますね。
ナイル川って世界で1番長い川じゃないですか?それにあやかって会社が末永く続くようにというのが理由の1つですね。またナイル川は昔大洪水で氾濫した後に肥沃な大地が生まれてエジプト文明が繁栄した事から、川に人が集まってくるように私たちの会社にも良い人材が集まってくるようにという願いを込めています。
基本的には今のペースでゆっくりと事業を行っていきたいですね。できれば全員の顔に目が届くラインの10人ぐらいまでは社員を増やしたいと思います。
私は「これがやりたい」というよりも「これはやりたくない」という風に思うタイプなんです。「お客様にペコペコしたくない」「満員電車に乗りたくない」「駅から遠い会社に通いたくない」等やりたくない事が沢山あるんですよ(笑)。それを1つずつ潰していったら今の状態になったんです。でも「嫌な事から逃げたい」というモチベーションは大切だと思います。他の企業の社長さんの著書を読むと社会貢献など良い事が書いてあるじゃないですか?私もそういう気持ちはあるんですが、そういった社長の方々も私のような「嫌な事から逃げたい」というモチベーションがあったはずなんです。それが発展して社会貢献などに繋がっていったと思います。
色々な職を経験する中で会社には悪い人もいますが良い人もいるという事がわかってきたんですよ。そういった方々に影響を受けたから「働きたくない」といった悪い方向に作用しなかったのかもしれません。今でこそ私はきちんと仕事を行うスタンスですが昔はルーズでしたよ、特に金銭面で(笑)。でも色々仕事を経験する中できちんとした振る舞いが出来ないとお金って貰えない事に気付いたんです。社長になったら毎月のキャッシュフローもあって金銭面での管理は尚更厳しくなりました。
自分がどういうタイプの人間なのか知る事が大切だと思います。独立して初期の段階は営業から製作まで全て1人でやらなければいけない。そんな時もし自分が営業が苦手な人間だったら大変なストレスを抱えると思うんです。その前に自分のタイプを知っておいた方が良いですし、もしわからなかったら1度会社に入って自分の適性を知った上で独立するべきだと思います。実際私も営業が苦手なので自分から仕事を取りに行く事はしないんですが、人と話す事は好きだから依頼があれば聞きますというスタンスなんです(笑)。
それから「金持ちになりたい」「偉くなりたい」といった貪欲なモチベーションも必要だと思います。そういうモチベーションから逃げずに向き合う事が大切です。ただそのモチベーションのまま突き進んだら誰も付いて来なくなってしまいます。独立したら様々な関係者が増えていくのでその人々へのメリットを考えていく必要もありますね。それが社会起業家のような理念に成長すれば素晴らしいと思います。