『語れる人生』であれ
株式会社ワークスアプリケーションズ代表取締役最高経営責任者/牧野 正幸
「自分のキャリアを真剣に考える」ことをしてください。出来るならば、海外の大学に留学したらいいと思います。そうでなければ、ビジネスの根幹に携わるような社会経験を積んでください。それは単なるサービス業や飲食業のアルバイトではなく、例えば事務職や営業職として働けば、企業ビジョンや組織マネジメントなどに触れることができます。そういう仕事は楽しいと思えるまでに時間がかかるでしょうが、そもそもキャリアもなく「楽しい」と感じるような仕事は、単純化された「作られた」仕事です。自分の能力の限界を試されるような経験を通して、仕事の本質を見極めていくべきです。インターンシップも同様で、決して「楽しい」だけのお飾りインターンではなく、能力の根幹を揺さぶられるような難度の高いインターンシップに挑戦してみて下さい。
皆さんと時代が違います。私の学生時代はバブル崩壊前の高度経済成長の余韻が残る頃で、大企業に入ればバラ色の人生が約束されていると誰も信じて疑いませんでした。国が企業の成長を牽引し、意識せずとも昇給や昇進が保証されていました。しかし、バブルが崩壊し失われた20年とまでいわれる現代において、「とりあえず良さそうな大企業に入れさえすれば、将来は安泰である」といった今までの常識は、もはや通用しないでしょう。また他国同様に、今後の日本において、多少景気が良くなろうとも高度経済成長が復活することはないでしょう。国や企業に依存するのではなく、自ら考え動いて、自分のキャリアを作っていかないといけないのです。
海外でも働ける力を身につけるべきです。「日本に仕事がないから何もできない」という人になるのか、「日本に仕事がないなら中国に行こう!」と働く環境を自分で選択できる人になるのか、その二択です。海外のスマートクリエイティブ層の学生たちは大企業には入りません。なぜなら、下から上りつめるより、上位のポジションでヘッドハンティングされる方が有利で早い事を知っているからです。だから、みんな能力を磨いて自分の価値を最大限高めるために、難度が高いあらゆる仕事を自分の責任下で行わざるをえないベンチャー企業で働くのです。一方で大企業は、安定を求めて組織で動くので、一人ひとりに与えられる権限の範囲は小さくミスは許されません。なので、自己判断で行動し、またそのぶん数多くの失敗が必要なスマートクリエイティブにとって、大企業は窮屈なのです。過去の事例と経験から正しい選択をして実行するだけでは、キャッチアップにしかすぎません。そうではなく、難題に挑戦するからこそ、自分で考えて行動出来るようになります。その力がないと、世界で通用する人材にはなれません。