誰も目をつけていないことに目をつける
株式会社NEWSY 代表取締役 / タカハシマコト
僕も2012年にシルバーを獲っていますが、「TCCより先にカンヌを獲っておけ」と言いますね。今はみんながカンヌに注目しているけど、みんなが注目してからだと遅いんですよ。ニュースサイトにしても、いろんなクリエイターが作り始めたらもうおいしくない。逆に言うと先行優位が働いて、今からニュースサイトを作り始めても遅いんですね。
実はTCCを獲らなきゃいけないというのは、決められたルールの中で司法試験のように取るのが大変だったんですけど。当時にカンヌに目をつけていた人はたぶんその世界ではだいぶ有名になっていたでしょう。みんなが目をつけていないことに目をつけたほうがいいよということですね。
僕の仲がいい常見陽平くんが『下積みはあなたを裏切らない』という本を出したんですよ。彼も大企業で下積み経験が長いんですが、僕が新人の頃は、寝ないで毎日100本のコピーを出し続けて8時間打ち合わせに拘束するみたいな生活でした。しかしそれは、誰かがほぼ24時間に近い形で、コピーライターの素質がまったくない僕を数年間鞭を入れて叩き直してくれたということなんです。こういうことができるのは大企業か人材育成力がある企業しかないと思います。
例えばNEWSYにいきなり学生さんが入社してもそこまで育成に我々はリソースを割けないと思うんですよね。だから僕は学生が卒業してすぐ起業するっていうのも否定はしないですが、大企業に最初就職してそこの人材育成力を使い倒すというか、そこでしか得られないものって大きいんじゃないかなと思います。
僕がもともとやりたかったことと、やらされたことと、やらされたところから次のステップへ進んだものって3つとも全部違うんですよね。だけど僕は博報堂に入ってコピーライターにならなければ、さえないマーケッターになったかもしれない。他の企業のマーケティング職に内定頂いていましたし。大企業に入って納得のいかない人事異動があったり、すぐに起業をするのも選択肢ではありますが、下積むという経験は若いうちにしかできない経験だと思います。下積みをするなら、大企業や人材育成力がある企業が良いですね。ベンチャー企業では早くグロースさせるためなかなか育成に投資ができない。あるタイミングなのか、最初のステップで、塾のように企業を使うのもありだと思いますね。