デザインエンジニア-新しいものを生み出す、新しい働き方
takram design engineering代表 / 田川欣也
「世界の人たちと仕事をするならここだ」と思っていました。世界には日本の何倍も面白い人が存在しているので、「海外での仕事もしたい」というモチベーションは昔からあったんです。最初は、アメリカの西海岸を最初の海外拠点にしようかと考えていました。しかし、デザインの仕事は「人」が全てなので、仲間になってくれる人がたくさんいないと上手くいきません。シリコンバレーには面白いプロジェクトが山ほどありますが、アップルやグーグルなどの大きな企業もあるため、クリエイティブ人材が非常に取りにくい状況を肌で感じました。それに比べると、ロンドンのデザインコミュニティは充実しているし、小さいスタジオもたくさんある。大企業がクリエイティブ人材を独占している感じでもありません。そして若い才能がヨーロッパ中から集まっています。また、僕自身にとってはロンドンには知り合いもいて母校もあって、土地勘もあるので、海外ながらもうまく活動することができるのではないかと思ったんです。
ロンドンにはデザインエンジニアとして活躍している人も多くいます。ダイソン社の創業者であるジェームズ・ダイソン氏もデザインエンジニアの代表格です。
「今の学生だからこそ」こうした方がいいと思うことは全くありません。よく「今の若者は…」と嘆く大人がいますが、それは大人になって成熟しているから言えることで、彼らが若かった頃は同じくらい未熟だったのではと思います。話が少しそれましたが、僕が信じているのは、やる気がある人がチャレンジすれば成長するというシンプルな話です。
そして、僕は社会全体で見れば「社会は新陳代謝をし続けた方が良い」と考えています。そして社会が新陳代謝を続けていくためには、新しいものにチャレンジする人たちが常に一定数必要になってくると思うんです。
古いビジネスや制度などは、時代の変化につれて新しいものに置き換えられていくべきだということです。新しいものごとをどんどん取り入れることで、古いものを少しずつ捨てていって、社会全体を進化させていくことが大切です。そして社会を進化させる際に必要なのは「古いものを止める人たち」と「新しいものを生み出す人たち」です。その新しいものを生み出す人たちが全人口の10%くらいは必要だと思います。
就職をするということは、過去の人たちが作った職種に入っていくということです。それはもちろん必要な部分ではありますが、先ほどからお話しているように「新しいものを生み出す人たち」も必要です。少しでも「新しいものを生み出したい」と思ったら、果敢にそれに挑戦してほしいと思います。その「挑戦」は自分自身のためだけでなく、社会のためにも良いことだと思います。
「新しいものを生み出すこと」の中で一番わかりやすい方法が起業ですが、起業の他にも、僕たちのように「新しい職業、新しい仕事を作る」という方法もある。少しでもそういうことに興味ができたら、インターンをしてみるのも良いし、小さい一歩からでもやれることはたくさんある。そういう一人一人のチャレンジが、自分自身を超えて社会全体の進化につながっているんだと感じてもらえればと思います。
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