「起業は人生というゲームのルールを変える唯一の方法」
株式会社ショーケース・ティービー 取締役副社長(創業者) / 永田 豊志
学生時代は「起業」について考えたことはほとんどありませんでしたね。むしろ私の学生時代は、軽音サークルに入ってバンド活動に夢中になっている日々でした。
あえて言うなら「早くお金持ちになって35歳までには仕事をしなくても良い生活ができるようになりたい」とは思っていましたね。(笑)
当時は起業というよりも、大好きだったバンド活動でメジャーデビューして有名になり、音楽でお金を稼ぎたいという夢を持っていました。夢を叶えるために何度かコンテストにも出場したこともありましたね。
最終的には大学卒業というデッドラインが来てしまい、メジャーデビューの夢は果たせないままバンド活動は終了してしまいました。
ちょうど私が就職活動を始めた頃はNTTが独占していた通信が自由化され、リクルートが新規事業として通信事業やスーパーコンピュータのシェアリングサービスを始めた時期でした。
私は昔からハイテクが好きで、スーパーコンピュータやネットワークに関するビジネスを行うリクルートに非常に興味を惹かれていたのです。バイトも兼ねてリクルートに体験入社もしたのですが、若い人たちは皆目が輝いていて、ビジネスをしているという自信に満ち溢れていたのです。それがキッカケでリクルートに入社しました。
私は「ここで2、3年ビジネスマンとして鍛えられたら、将来独立して35歳までに仕事を引退するという夢が叶うかもしれない」と思ったのです。
リクルートでは9年ほど働いたのですが「リクルート事件」や「バブルの崩壊」を通してリクルートという会社が、当時私が入社した時よりも保守的な会社になってしまったように感じるようになったのです。
というのも、自分が考えたビジネスアイデアが以前ほどなかなか社内審査を通らなくなってしまったのです。アイデアが通ってもあまり面白みを感じない内容に修正されてしまうことも起きるようになりました。
そういったこともあり、もう自分で起業してしまいたいという気持ちが自然と強くなりました。それにリクルートから独立していった先輩たちが、小さい会社ながらにも社長名刺を作っているのを以前からとても羨ましく思っていました。私も早く自分の会社を作って「社長」という役職のついた名刺が欲しいと思ったのです。(笑)
知人と出版社を立ち上げて、取締役兼編集長として6年ほど経営に携わりました。
出版社ではBtoCのビジネスを行っていたわけですが、インターネットが一般にもかなり普及しつつある時期で、私は「ビジネスプロモーションがBtoBでも活用できるのではないか」と考えるようになりました。
インターネットで動画が見れるようになり、企業が将来Web上で動画を用いたマーケティングを行うようになるのではと考えるようになったのです。そこで動画を使ったマーケティング支援を行えばビジネスになるのではないかと思い、BtoBのビジネスで私が社長として起業した会社がスマートイメージでした。
新しい業界に入ると、そこに関連する本は全て読みました。全て読むと業界での考え方にある一定の共通点が分かってきます。さらに業界について詳しい方から直接話を聞き、さらに紹介をもらって話を伺うようにすると、それだけで本や雑誌に載っていない1次情報に触れることができ、業界についてかなり詳しくなれます。
起業を目指す人は特に注意して欲しいのですが、アンケートなどで統計を取ったデータのみで市場を図り、そのまま起業を行う人がいます。私はその方法をお勧めしません。アンケートも重要ですが、直接自ら1次情報に触れた上で市場を判断しないと、起業した後で思ってもみない落とし穴にハマることもあります。
1次情報に触れぬままビジネスを行うことは、実態と異なる想定をしたままビジネスを行っている可能性があります。起業に失敗するリスクをなるべく排除するためにも1次情報に触れることを心がけましょう。