医師が起業してまで実現したい世界とは
メドピア株式会社 代表取締役/石見 陽
実際の医療現場は紙媒体で成り立っている世界なのでIT化がものすごく遅れています。今ではMedPeerの会員数は10万人を超え、医師同士の経験を共有する仕組みが整えられたので、私たちの特徴を生かしたウェブサービスを医療の現場でどんどん導入されていく状況を作りたいと思っています。「メドピアのサービスを使うと医療の質が上がる」と言われる状況になればいいと思います。
また、医療系のITサービスは、「クラウド上で患者一人ひとりの情報を確認することができ、異常なデータが出た場合は自動で警告をしてくれて、最適な治療法、食事を把握できるようなもの」を期待される方が多いのかと思います。しかし、現状の医療業界自体が非常にアナログな世界のため、皆様が思い浮かべるような世界は恐らく10年先のものだと思っています。「10万人の医師の集合知の仕組み」があり、そこにアプローチできることが弊社の最大の強みです。その強みを生かして創り出す事業によって10年先の世界に早く近づけることが私たちの仕事だと思っています。
今年の11月には、「Health 2.0」という医療・ヘルステックのグローバルカンファレンスを開催しました。「Health 2.0」は、2007年にアメリカで生まれ、今では世界各国で開催されている、この分野では世界最大規模のグローバルカンファレンスです。数年前から私自身がアメリカ本体のカンファレンスに参加する中で、医療のIT化において日本が世界からどんどん置いていかれるという危機感を抱き、日本でもヘルステックのベンチャーがどんどん生まれるようにという思いで、これを私たちが日本に持ち込んで開催しました。他業界と比べて新しいチャレンジをする動きが少なかった医療業界に、知の共有と連携を通して新たなビジネスが次々と生まれるプラットフォーム創りに貢献していきたいと思います。
「いろいろな人に会いに行きなさい」と言いたいですね。自分の専門を超えた横のつながり、私の場合は医療系でない人と会った方がいいよと。
また、学生の間で「起業に興味がある」と言うと大体のベンチャー経営者は会ってくれるので、 学生の間に本をたくさん読んで、この著者に会いたいと思ったら一本釣りで手紙を書いてでもして会いに行きなさいということです。
実際に相談されることもありますが、少なくとも二年は医者をやっていた方がいいと言っています。医学部に六年間通っても風邪も診れないのです。ですので、医学部に六年間通って卒業してすぐに起業すると四年制の学生より二年ビハインドしただけの単なる社会資源になってしまうのです。それは非常にもったいないと思うので最低限二年は医者をした方がいいと思います。
起業家は「何らかの課題を解決する」という信念を持っていると思います。会社経営にしても医療にしてもすべて人との関わり合いで物事は成り立っているので、「自分を高めたい」「成長したい」という漠然とした思いだけで起業をしてしまうと誰かに迷惑をかけることになります。起業することがゴールになっているのであればもう一度考え直した方がいいと思いますね。社会に課題が見つかり、「自分がこの課題を解決したい」という熱い思いを持っているのであれば起業することは非常に素晴らしい手段なのではないかと思います。
本記事の作成者:片山 健人
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