『サイバーエージェント子会社社長の告白』
【第14弾】
ドットマネー 鈴木社長
「決断経験値こそが、ビジネスマンの市場価値を決める。」
『サイバーエージェントのグループ会社の社長インタビュー連載企画:第14弾』
株式会社ドットマネー 鈴木 英
「社長になりたい」という思いが、もともと強い方ではありませんでした。
私はどちらかというと、フォロワーシップが強い人間だったので、上司など「尊敬する人の期待に応えたい」という思いをもって、常に頑張り続けていました。
社長がどうこうというより、求められる成果に応え続け、その時々に応じた組織における自分の役割を意識し、ジョブサイズを広げていった結果、今の立場に抜擢いただいた、というのが実際のところです。
今、振り返ってよく考えるのは、
「社長」というのは、ただの肩書だということです。
一番大事なのは、組織として圧倒的に成果を出すことだと思っています。その組織のフェーズによるとは思いますが、トップの役割もタイミングによって違うと思っています。
私自身、子会社設立後もドットマネーの営業として最前線で戦ってきましたし、そのマインドは今でも変わっていません。
経営とは組織の掛け算だと思っています。ですから、組織における強烈な個性と、個人の決断経験値を引き上げることが必要です。個の育成において私は、「なぜを突き詰める」ことを意識しています。
社員のメンバーとコミュニケーションをとる時に、
私が否定をした瞬間に、多くのメンバーは思考停止してしまいます。
そのため、否定をせず、「なぜ?」を徹底的に掘り下げることにしています。
「なぜ、そう考えたの?」「なぜ、そういう結論に至ったの?」
そうやって「なぜ?」を深掘りできていると、根拠が明確になり“思考の質”が上がります。
思考の質が高い=パターンを考え抜くことができているので、何か思わぬ事態が起こっても大抵のことには対応できます。
あらゆるシチュエーションを想像した戦略設計と精度の高い実行があれば、必ず成果を出せる。
特にドットマネーのメンバーは、球際で逃げない実行力を持っているので、思考の幅を広げるように「なぜ」を突き詰めるコミュニケーションをとっているのです。
「あれをやれ、これをやれ」というのは簡単ですが、
大事なのは、異なるそれぞれの場面においても同じような思考のフレームで考えられるかどうかです。
その点を意識してアドバイスし、個人としてのスキルアップができるように努めています。
2つ目は、「決断経験を積むこと」です。
決断の経験値こそがビジネスマンの市場価値につながっていくというのが私の考えです。
決断して、やってみて「うまくいった」「失敗した」というのが1つの経験値です。
私たちビジネスマンは、スキルを可視化しにくいことが多い。
そうなると、大事なのはやはり決断経験値なんだと思うんです。経営者の差も、決断経験値の差。
世の中の名だたる経営者を見ても、やはりこれまでの決断経験の量と質が圧倒的です。
自らの決断によって、超えた修羅場や、成功に導いた経験こそがその人の市場価値であると思っています。