『サイバーエージェント子会社社長の告白』
【第15弾】
QUREO 事業責任者 高橋 悠介さん
「You Only Live Once. 恐れずに心躍ることに飛び込め!」
『サイバーエージェントのグループ会社の社長インタビュー連載企画:第15弾』
QUREO 事業責任者 高橋悠介
内定者時代に、SGE(サイバーエージェントのゲーム・エンターテイメント事業部)で行われる新規事業コンテスト「NEXT」で優勝したのがきっかけです。
私は、内定者時代に、サイバーエージェントの子会社でゲーム事業を行う株式会社アプリボットで内定者バイトをしていました。
内定者バイトすることを決めた時に、アプリボットの社長である浮田から、「新規事業を立案する部署をつくったから、来なよ。」と言われて、ジョインすることを決めました。
それからは毎日新規事業を考え、浮田に提案しては砕け、提案しては砕け、、、という日々を2~3か月繰り返し、100案以上の新規事業を提案し続けました。
いくつか可能性があり検証を進めた事業もありましたが、全て途中で「やはり難しそうだ」「事業としての将来性がない」ということで、なくなってしまいました。
自分の立案した事業がなくなってしまい途方にくれる中、
ラストチャンスだと思って応募した新規事業コンテスト「NEXT」で、優勝することができ、事業化が決まりました。
それが、現在の「QUREO」の案でした。
優勝後、そのまま浮田さんと面談をして、「この事業を3年やれる覚悟はあるか?」と言われ、
正直、自身の実力とのギャップに足がすくみましたが、決意を固め、事業責任者としてやることを決断しました。
当たり前ですが、その会社でやる意味、その会社だから勝てる理由を考え抜いたからだと思います。
会社は大きな木で、1つ1つの事業は枝と考えてください。枝がどんどん伸び、更に分かれ増えて行くことで、幹はより太くなり、木はより大きくなります。
事業として強く大きく成長するためには、サイバーエージェントの強みをフルに活かすことが、結果として差別化になり成功に繋がります。ただ、枝はあくまで枝であり、幹であるサイバーエージェントでやる意味や何を返せるのかを考える必要があります。
例えばですが、ペット市場は現在日本でも再度拡大してきています。ペットシッター、ペット関連のECサービスなどチャンスはあるかもしれません。が、直感的に”サイバーエージェントらしくないな”と感じる人が多いのではないかと思います。
それは、強みが活きない+やる理由がないからに他なりません。人材の面でもペット領域が得意な人よりも、エンターテインメントが得意+好きな人たちが多いので、エンタメっぽいペット領域ならあるかもしれません。
なので新規事業を企業内で立ち上げる場合、まずは自分の所属する会社、組織を徹底的に知る必要があります。自分が使える手札や強みを理解せずに、良い事業が突然思いつくことはほとんどないからです。
また、自分だけで考えようとし過ぎずに、いろんな人に話を聞いて、新規事業について意見をいただいたり、今感じている課題感を聞いたりして、現場のリアルを集めて、そのギャップを埋めていくことも、良い新規事業を立案するためのポイントです。仮説検証を早く回すことが大事です。
あとは、泥臭く打席に立ち続け、改善し続けることです。
私は、100案以上、新規事業を提案しました。そのうちのおよそ99案はつぶれたんですけどね。(笑)
ですから、途中で諦めない心の強さも必要です。
「圧倒的にユーザー視点に立って、良いプロダクトを作ること」です。
このサービスを使うのは誰なのか。どんな状態なのか。どんなことで喜び、どうなると悲しくなってしまうのかなどを徹底的に考え抜きます。
実際に「QUREO」を使うのは小学生の子どもたちです。
また”教育”というドメインも相まってどれだけ良いプロダクトを作れるかでほぼ勝負か決着します。そのため、まずはユーザー(子どもたち)が熱狂するプロダクトをつくることに集中しています。
ユーザー視点に立つために、「QUREO」は、開発途中から社員さんのお子さんに協力していただき、
「おさわり会」を開いて、子どもたちに実際に利用してもらい、その素直な声をフィードバックとしていただき、改善を繰り返しています。
実際に子供に試してもらったり教えることを通じて、「ここのボタンが押せると勘違いしてしまう」や、「マウスが思ったより使いづらそう」など様々な生のフィードバックを得ることができます。
それを元に抜本的な作り直しなども何度か行いましたが、それを経て、多くのお子様に楽しみにながら使ってもらえるインターフェースになったと考えています。
「応援していただけるような想い、姿勢、行動」を大切にしています。
私は、「QUREO」事業の立ち上げを経験しましたが、
最初は、プロダクトもない、戦略もない、人もいないという、本当に何もない、一人ぼっちの状態からのスタートでした。
そこから、エンジニアの方やデザイナーの方など、少しずつメンバーが集まり、チームができると、そこが起点になって、ようやくプロダクトができてくるのだと実感しました。
当たり前ですが、自分一人では何もできません。当然ですがチームメンバーは僕よりも優秀です。事業責任者はいち役割でしかなく、事業の成功に責任を持つべきですが、それは全部自分で決めるということでは全くありません。
経験も能力もない若手が実力以上の成果を出すには、”様々なプロの力を貸していただく”しかありません。
そのためには、応援されることが重要です。変にプライドを持って独りよがりな能力のない若手になってしまうと、成功は絶対にできないので、想いや行動などによって様々な人の力を借りて大きな成果を出す。
リアルな事業づくりを通じ、この重要性を強く感じることができました。