起業家らしくないからこそ見えた、起業家に必要なこと
電脳株式会社 / 室井 亨
システム開発の会社を設立しました。
しかし誰でもやってる経理のシステムや、在庫管理、顧客管理のソフトの開発ではなくて、なるべく誰もやっていないようなFA分野を選んで開発していまし た。それがバーコードリーダーを使ったドーム球場やスキー場の発券システムとか、ビデオレンタルシステムなど色々なソフトですね。
誰もやってないこと、これに絞って取り組んでいたんだけど、バブル後の影響なんかもあってその後、設備投資を控える企業が増え一年後を予測すると新規の受注が激減するだろうと考え、人ありきの商売なので28人いた社員を、全員きちんとした就職先につかせました。
『このプログラマーは気が弱いからお客様の会社の社員としてのSEに合ってるかな』とか『この社員はよくできるからクライアントさんをくっつけて丸ごとこ の会社に雇ってもらえるかな』とか兎に角、一人ひとりの社員が無理なく務められ幸せになれる道を模索しました。
そして約1年後にようやく一人になれました。その時に『やっぱり一人って気が楽だなー』と実感しましたね。
スキップして歩きたい気分でしたよ。大体もともと一人で誰にも気をつかわず、気楽な人生を歩みたかったんだから(笑)もうこれで資金繰りも考えなくていい し会社にお金がなければ、自分に給与を払わないだけだし、社員に幸せになってもらおうにもその社員がいないんだから、注意も指導も教育もしなくていい (笑)自分の家族の生活だけ心配すればいいんだから。その時はもう絶対、人は雇わないぞと固く決意したものです。
半年くらいですかね。半年したら、サラリーマン時代のお客様や仲間が一升瓶を持って遊びに来てくれて前の公園で“どんちゃん騒ぎ”『室井さん、こんなことやってみたら面白いんじゃない?』という風に色々な商売のネタを言ってきくれたんです。
じゃあ、それちょっとやってみようかなって始めたのが、今の中古のコピー機の販売でした。中古販売で、倒産物件だけの品質のよい品を限定して仕入れて、販売するというのが、わが社のビジネスの再スタートでした。中古のトラック1台を購入して。
いやぁ、言われましたよね。
『コピー機メーカーの敵だ!』なんて言われて意地悪もされましたけど、でもそうやって『敵だ!』なんて言われるということは、これはよっぽど我々には参入 されたくない良いビジネスモデルなんだなと思いました。結果的には、中古からリプレイスして新品の商品も購入いただけるようになり今ではメーカーさんとの 取引量も普通の代理店さん以上となりフレンドリーな関係になってますよ。
それからお客さまの7割の方が起業家さんで、そんな方の要望でオフィス家具・ビジネスホン・シュレッダーなどと必要なものを展示してたら、今のビジネスモデルになっちゃった。そんな単純な感じですね。