自ら新しい仕組み、知を生み出す
株式会社リバネス / 丸幸弘
今と変わらないですね。一日中研究をやって、ご飯も学食か吉野家、松屋。あまり物とか食べ物に興味がないんですよ。でも知識欲に目覚めちゃったんです。楽しくて。うん。だって本当にすごいよ。世界を変えられるわけですよ、自分の脳みそ一つで。興奮するよね。だからご飯なんかなんでもいいし、女の子にも興味なかったなあ。
やっぱり大学のときです。ずっとインディーズでバンド活動をやったんですけれど、バンドメンバーが就活を始め、自分は大学院に進学を決めた頃でした。ちょうど大学3年くらい。その時、僕は新しい物を見たり、体験したりっていうのが好きで、旅人になりたかったんです。そこで、教授に相談しに行ったら、「科学」なら旅と同じように新しいことを考えたり、体験できるんじゃないかなっていう形でうまく騙されて(笑)、研究者の道に行こうと決めたんですよね。でも、入ってみたら本当に研究者の道は僕にとっては旅人の道と一緒だったんです。毎晩ラボに籠って教授にやれと言われた研究の他に、自分がやりたい研究を裏で3〜4本走らせて自分ひとりでデータ取って、という生活を学部にいた時はやっていましたね。まさにScienceに目覚めて追い求める旅人でしたね。
研究をしている傍ら、教授になって自分は何をしていくんだろうと考えたんです。そうしたら、僕が研究してきたこの技術は使われてナンボだなと感じて教授になるのをやめました。これからも教授になって研究の道を究めるのも大切なことですが、その技術をビジネスにして社会に還元していかないと知識が活かされずに埋もれてしまうって思ったからです。だから会社を作りました。自分の技術で社会貢献できたら良いなって考えて。 そのために、博士号を取ることまでは決めていました。だから修士課程の時に会社を作って大学で研究しながら会社も運営する、という二足の草鞋でやってきました。大学を卒業しても研究をやめたくなかったから自分の会社で研究所を作って今も研究を続けていて、そこでいいデータを出して薬を作ったり、バイオ燃料を作ったりという感じです。
もちろんです。研究こそが人類がやるべきことだと思っています。サービス業は飽和しているし、これからの時代、文理で言ったら文系だけっていうのは残らない、というか残れないですね。文系は理転したほうがいいと思います。アメリカに多いのは、学部はずっと文系でビジネス学んで、その後に自分の得意そうな学部に理転して博士号を取ってビジネスするっていう学生。こういう学生は賢いと思いますね。最初に文系で社会を広く見て、得意そうな理系の学部を確認してから行かないと時間の無駄だっていうことわかっていると思うんです。だからそれは理にかなっている。どっちが先かは関係ないけれど、文系理系両方の視点がないともうダメなんです。現状、韓国と中国のトップ層は皆、博士号と経営学修士を両方持っているんです。そういう人がゴロゴロいます。