「お金をもらわない仕事」をする。
numabooks 代表 / 内沼晋太郎
もちろんクライアントワークには責任が伴うので、時間が取れなくなることはたまにありますが、大きくブレてしまうことは無いですね。自分が「お金をもらう仕事」ばかりをやっていると、本来なりたかったはずの自分のイメージからズレてきていることに気づいて、働くことが段々苦しくなってくるからです。「お金をもらう仕事ばっかりやっているな」と気づいた時には、軌道修正をしています。どんなことであれ、優先順位は、自分をちゃんと「客観視」できていれば、ブレないんじゃないかなと思います。自分を客観視できるかどうかは、仕事においても凄く大事ですね。
自分を客観視できていないと、人に流されて仕事をすることになるからです。はっきり言うと、自分を客観視できない人は、仕事もできないんですよ。そもそも仕事というのは、お客さんが求めるものを作ることです。そこで一番大切なのは「相手の立場になって考えること」です。自分を客観視することができる人は、相手の気持ちがわかる人です。だから僕は、仕事ができるようになるためには、客観視できる能力が必要だと思います。
この意味での客観視は、学生のうちに身につけるのは、簡単ではないかもしれません。なぜなら仕事において必要な能力は、仕事上の相手がいて初めて手に入れられると思うからです。僕自身、自分をいまのように客観視できるようになったのは、仕事を始めて「どうやったら商品を買ってもらえるか?」というのを一生懸命考えるようになってからなんです。つきつめると、仕事における商品は最終的には「自分自身」です。世の中に出て仕事をはじめるということは、商品になるということ。そのことを意識することが、お金を稼ぐことと上手に付き合いながらこの世の中で生きていく自分を、客観視することにつながります。まずはとにかく仕事と呼べるようなことをはじめ、なるべく世の中、会社の中、市場の中における、自分の位置づけを意識するようにする。手元にお金が入ってくるようになったら、そのお金がどのようにして、どのような価値から生まれたのかを細部まで想像するようにする。そうすることでだんだん、自分を客観視できるようにもなるんじゃないでしょうか。