自分の「好きなこと」を事業化しないと、続いていかない
株式会社スノーピーク代表取締役/山井 太
1986年に株式会社スノーピークに入社し、アウトドアをライフスタイルととらえ、スノーピークをオートキャンピングブランドとして展開。 オートキャンピングのパイオニアメーカーとして日本のアウトドアシーンを革新する。 1996年に社長に就任。国内での全国展開はもとより、北米・ヨーロッパ・アジア・オセアニア地域に営業を展開し、日本からの情報発信を行う。 創業以来貫き通す「自分たちもユーザーである」との原点から、ミッション・ステートメントとして掲げる”The Snow Peak Way”のもと、革新的な新製品の開発を行い、人間と自然が豊かにふれあえるライフスタイルの提案として、徹底的にユーザーの立場に立ったプロダクツやサービスを提供し続けている。 2013年には、日刊工業新聞主催「第31回優秀経営者顕彰」において最優秀経営者賞を受賞。また、2014年自身初の著書となる『スノーピーク「好きなことだけ!」を仕事にする経営』を執筆するなど、精力的な活動を続けている。
【株式会社スノーピーク 公式サイト】
http://www.snowpeak.co.jp/
【株式会社スノーピーク 公式FBページ】
https://www.facebook.com/SnowPeakJapan?fref=ts
大学進学で東京に行き、卒業して外資系の商社に就職したのですが、当時は何となく「将来は親父の会社を継いであげなきゃいけないのかな」と思っていました。でも、具体的にいつ帰るとか、そういったことは決めずにいたんですね。そうしたところ、社会人になって3年くらい経ったときに父から電話があって、「お前、3年たったから帰って来い。約束だろ」と言われたんです。実際はそれまでに、そんな話は一切なくて、私としては「約束してないじゃん」って感じだったんですけどね(笑)。
それがきっかけで、父親の事業を継ぐことを真剣に考え始めました。ただ、そのときは商社で新しいプロジェクトを立ち上げたばかりで、それが軌道に乗るまで1年半くらいかかると思ったので、父親には「少し待っていてください」と伝えたんです。
それで、帰らなきゃいけないなら「自分がやるべきことをちゃんと考えてから帰ろう」と思って、今の事業(オートキャンプビジネス)をやるってことを決めて、帰りました。それで、父の会社に入社をしたんです。
そうですね。私が入社した時点では、社内にミッション・ステートメントがなかったんです。これでは「みんなが何のために働いているのかわからない」と思って、会社が目指すべき方向を「The Snow Peak Way」として明文化しました。
社員が入社してくるときとか、仕事を進めるフェーズの中で私が喋ることって、ほとんど「The Snow Peak Way」のことだけなんですね。
もしかしたら世の中には「社長のために働く」みたいな会社もあるかもしれないですが、スノーピークには私のために働いている人はひとりも居ません。私のために働いて欲しくないですしね(笑)
その代わりに「ミッション実現のためには、みんなで働こうよ!」ということを徹底して伝えています。そういう会社じゃないと、ただミッション・ステートメントを書いても意味がないですからね。
あと、仕事っていうのは選択の連続じゃないですか。みなさんもビジネスをやっている以上は岐路があって、選択をしなくちゃいけない。そんなことを毎日やってますよね。
「AかBかどっちなのか?」って選択をしなきゃいけない場面は日々、訪れます。私たちの場合はA案・B案があったときに「どっちがミッションに合っているか?」と問いかけて、ミッションを判断軸として使ってくださいってことを伝えているんですね。
それで「Aの方がSnow Peak Wayだよね。“新しいことを実現させる”っていう方法が、ミッションに沿っている。だからこっちをとりましょう。」っていうなら、Aを選ぶ。 でも「AもBもダメ」という場合があるじゃないですか。そのときは「AもBも取らない」という選択をします。どちらでもない、新しい「Cの道」を自分の頭で考えようと。そういうところで、毎日の仕事の中で、常にミッション・ステートメントを強く意識してもらっています。そういうところは真面目な会社だと思います。社長は不真面目なのに、会社は真面目という感じですね(笑)