夢ではなく希望
株式会社渋谷都市開発 / 渋谷 好幸
まず、今の分野の仕事を始める前9年間は、大手企業のホテルマンだったんですよ。私もそれなりの職務に就いていました。ということはもう会社の人間で、会 社の歯車にならざるを得ない部分があるんですよね。それが歳をとるごとに腹に落ちないというか。それがまず一つの理由ですね。それと、今住んでいるところ が自分で購入した分譲マンションなんですが、その分譲マンションを買った時、契約をしてくれる方が重要事項を説明してくれるんです。それを説明している彼 というのが非常に若くて、23歳位だったかな。その時私は32歳でしたかねえ、そんな若い子の説明ひとつで大金が動くことが衝撃的で。そこから「俺にもできるんじゃないか」と思った事が2つ目の大きな理由ですね。私は意外と自信家で、そういうすごいと思ったことを自分に投影させてやってみようってなるタイ プなんです。それにはもちろん失うものもあるけれども、得るものもありますよね。失ったものはやはりホテルマンという今まで培ってきた長い実績ですが、そ れは捨てました。反対に得たものは私を慕ってくれる大家さんですね。当然転職に反対する人間はいましたよ。女の人は現実的なので、家内にはせっかく大企業 に入って聞いた名前で勤めているので何故辞めるの?と言われました。家内に反対されるのはわかっていたので事後報告にしましたが、かなり驚いてましたね (笑)
そうですね。その時自分はまだ30代前半で「自分がどれだけできるのか」という真っ白な気持ちがあったんです。今となってはその気持ちがあったのが よかったと思いますね。ホテルマンから転職をして今の仕事に移ろうと思ったときに「おたくは経験ないでしょ、すいませんね」の一言で30件も断られたんで す。けれど唯一受かった会社の当時の部長さんが「渋谷君経験ないんだったよね。それがいいんだよ。経験があると、先入観で決めつけちゃうから駄目なん だ。」と言ってくれたんです。営業経験者は「垢を落とせ!」とよく言いますね、真っ白なキャンバスに描きこんでいくように、人間も同じなんです。それで、 その会社に賃貸管理を勤めた後、そのあと仲介も知っておいた方がいいかなと思い2年ほど勤めた後、先ほどの部長が独立して「渋谷君どう?」と声を掛けら れ、そこで4年勤めた後、起業して今に至ります。
良かった事は自分の城が持てたことですかね(笑)今までは会社勤めでしたので。「起業する」という決断一つで周りの環境すべてが変わりました。今日よりも 明日、明日よりも明後日。大変だったことはやはり金銭面ですね。ビジネスバンク阪東専務の『儲かる仕組み!こっそりお教えします』の中にもありましたが、 『起業してから三年』これをできなければお金のことはずるずる付きまとうと思うんです。起業して1年目が金銭的に一番大変なんですよ。1年目をクリアでき ればその改善をして2年目、3年目は2年目に輪をかけていくように転がっていくので、それに伴う事業の仕方を考えていかなくてはいけない…と、阪東専務の コラムには書いてありましたね(笑)今現在辛くても、三年経つまでは堪えようというのが私の今のテーマです。
大家さんは自分の物件がやっぱり可愛い訳ですよね。大家さんから見れば私たちはどこの馬の骨かわかりません。そこをどうやって心を開かせて、踏みこんで、 手を取り合えるか…。よく「大手に任せたからいいよ!」「経営コンサルに入ってもらっているので」と言われるんですが、そこで諦めてしまうのではなく、大 家さん自分自身が決断しなければならないところに一歩踏み込んで「お願いしますよ!」の一言を言わせるところまで行き付く。『ローマは一日にして成らず』 じゃないけど。大家さんが決断できるように育てていく。こういうところが管理業の面白み、醍醐味と言ったらいいでしょうか。そういう意味で「大家さん、あ なた自身からです」という文言を置きました。