あなたにとってのターゲットは?
株式会社インプレス 代表取締役 /山中哲男
初めて起業したときからですね。僕は事業を立ち上げる際には、必ず想定のターゲット層にヒアリングすることにしています。20歳のとき地元に飲食店を立ち上げましたが、そのとき自分の頭の中にあるイメージだけでお店を開くのではなく多くの人に意見を聞きました。もちろん、マーケットの意見だけ事業をつくってしまっては自分のやりがいが持てないかもしれません。ですので、自分の事業目的は明確にした上でマーケット情報を拾い上げてブラッシュアップする必要があります。
当時僕の地元には落ち着いて食事のできる飲食店が近くになくて、ゆっくり話せる空間を作りたいと思っていました。「この辺にデートで使ったり、仕事の話をゆっくりできる飲食店ってないよね?」と聞いたときに、もし「いや、あそこにあるよ」と言われたら僕が作ろうとしているお店には価値がないんですよ。逆に「そういうお店があったら行きたい」という声がたくさんあればマーケットとして需要があるということです。更には、自分自身のアイデアをより具体化するために意見を聞く際に質問が飛び交うはずです。その質問が自分が見ていなかった角度からの気づきをたくさんもらうことがあります。
僕が良いと思って提供しようとしているサービスや商品が本当にターゲット層の人が満足してくれるのか。これはサービスや商品をリリースする前に極力キャッチするようにしています。「すべてのお客さんの求めているものを実現しろ」と言っているわけではありません。事業構築の際には、ブレてはいけない軸があるんです。飲食店を作ったとき僕は空間を作りたかったわけです。それこそが軸なんです。
でも中にはすぐに価格の話にもっていくお客さんもいます。「空間をつくりたい」という話を飛ばして「それって安いの?高いの?」と言ってくる人もいます。人によって大事にしている価値は違うので、価格の話をしてくる人も中にはいるでしょう。重要なことは、こういった人たちの要求に振り回されないことです。
個人的に、集客方法や価格を決めるのは最後にしたほうがいいと思っています。まず大事なことは3つで①事業目的の明確化②ターゲットの明確化③ターゲットが喜ぶ商品作りだと思います。まずはここをしっかりと行うべきです。集客や価格というみなさんが振り回されがちなことは、この3つが決まってから気にするべきことです。誰に届けたいのかもわかっていないのに「どうやったら人が集まるのか」と考えるのは違和感があります。そして、一番売上に直結する集客という言葉に振り回されます。その多くの方は、ターゲットがぼんやりしたまま、集客手法をあれもこれも調べ、集まりそうな手法を見つけ勉強を始めます。そして、どれも上手くいきません。理由は誰に届けたいかが見えていないからです。
情報に振り回されないということは、まずはこの3つを徹底するということです。中身がないのに手法を追いかけるだけでは情報に振り回されてしまいます。新しい手法は次々と出てきますから何を使ったらいいのかわからなくなりますよね。