NO FUN NO GAIN
タリーズコーヒージャパン創業者 / 松田公太
4.5年前までは単純に「みんな元気がないな」という印象がありました。それを責める気もなかったですし、それも大人の責任だなと思っていたんですね。 現在20代の人たちは生まれたころにバブルが弾けてしまい、日本の経済が良くなったということを一回も経験したことのない世代です。日本はどんどん弱くなってきて中国に抜かれるぞ、というような話ばかりが世の中に溢れています。お父さん方が仕事を失い、ボーナスも少なくなるので家に帰って愚痴をこぼすんですよね。そういう話をずっと聞いているとやる気が出せなくなるじゃないですか。社会がどんどんどんどん悪くなっていく中で元気を出せと言われても出せるわけありませんし、本来なら大人は若者に元気を出せとも言えない立場だと思います。
私も若い方々に元気をだせと偉そうに言うことがありますが、それはやっぱり大人がそういう社会を作ってしまったのだからまずは私たち大人がどのように直すかを考えなくてはいけないと思います。若者たちに元気がないのはこのような仕組みを作ってしまった私たち大人に原因があるんです。当然、若者が仕組みを変えようとすることもできますが、若者に全て押し付けるのではなく、大人と若者が一緒になって仕組みを変えようとする姿勢が大切だと思います。それだったら若者も頑張る気になれるのではないかと思います。
元気がない、ただこのままではいけないと気付いてきている若者が多くなってきている。なので、そういった人たちと一緒に日本の政治を変えていきたいと私は考えています。
先程の話と少し矛盾してしまうのですが、やっぱりまずは利益を出すということをしっかり念頭に置いて取り組んで欲しいと思います。最近素晴らしい学生や若者にお会いする機会が多いのですが、意識があまりにもソーシャルアントレプレナー、社会起業家に寄っているんです。世の中の為に事業をやりたいという気持ちが強すぎて利益がついてこなくなってしまうケースが多いんですよね。
あまりにも社会起業家の考えが大きい方は、そのうち自分の給料がなくてもいいやと思うようになってしまうんです。最初はそう思っていたとしても2年3年、年収1000万だった人が200万円程の年収になると本当に辛くなってやる気自体がなくなってしまいます。頑張った分とイコールくらいにお金がもらえないとやる意義を見いだせなくなってしまうんですよ。
もともと人間は自分が幸せでないと他人を幸せにできないと思います。ですから社会起業家の方も大手企業に勤めるくらいの年収を目指して頑張るべきだと思います。 しかし、日本で社会起業家やNPOの方が年収1000万円となると「そんなに給料をとって、ふざけるな」と批判するんですよ。私は、それは違うと思っています。そういう人にはしっかり稼いでもらった上で社会の為になることしてもらえば良いのではないでしょうか。
社会起業家の方だけでなく、どんな会社もまずはしっかりと利益を得ることを考え、社会に還元していただきたいと考えます。 利益を出すこと、たくさん給料をもらうことは恥ずかしいことではないと思います。