経営者は最高に贅沢な人間修行
株式会社イマジンプラス 代表取締役社長 / 笹川祐子
私は、学びは「本と人から」だと思っています。成功者の人生や体験を短い時間で追体験できるので、読書することで効率的に学ぶことができますね。
私は小さい頃からずっと身体が弱かったんです。曾祖父が「この子は18歳まで生きられないだろうから大事にしてやってくれ」と遺言にしていたくらいですからね。縁側で寝たきりの日々を過ごしながら、「同じ人間に生まれてきて、裕福な人や貧乏な人、健康な人や体が弱い人、幸せな人や不幸せな人、どうして違うんだろう」そんな空想の世界に入り浸っていました。その答えが欲しくて、哲学書や宗教書などをひたすら読み漁っていたんです。
成功者の話を読めば、いずれこの疑問の答えが出ると思ったんですよね。そしてたくさんの本を読み進めるにつれ、自分なりの答えに辿り着くことができたように思います。それが先に述べた「成功者の共通点」なんです。本はいつも私に多くをもたらしてくれるので、読書はとても大切です。
松下幸之助、安岡正篤、中村天風、好きな作家や作品はたくさんあるのですが、あえて一冊選ぶのであれば20代の私の人生観を変えた本、ジョセフ・マーフィーの『眠りながら成功する』を挙げます。この本を店頭で初めて見かけたときには「こんな簡単に成功を手にできるはずがない」と疑って読みませんでした。でも何年経ってもその本が店頭から消えることはなく、ロングセラーを記録していたんですね。それでようやく手に取って読み始めてみたら、彼の提唱する潜在意識の活用法などの成功哲学は腑に落ちることばかりで、いろいろなものを読んだ中で一番すっと心に入ってきました。なぜもっと早く読まなかったのだろうと後悔しましたね(笑)
マーフィーは牧師職を務めていたこともあり、彼の思想の源泉ともいえる人間への深い愛と信頼が、作中の至る所に溢れています。本の中にある「人生は自分の思い描いた通りになる」ということば。その言葉通り、20代後半に私が思い描いたささやかな夢はすべて叶いました。この作品は今の私の人生観を形成したとも言える本なので、気になる方は是非読んでみて下さい。
起業を目指す学生さんであれば、是非ともベンチャー企業で働くことをオススメします。私も20代はずっとベンチャー企業で働いていて、その経験が今の自分に活かされていると感じます。ベンチャーはこれからの企業、成長企業なので、自分がその会社の歯車として中核を担うことになります。その分任される仕事も増え、責任も大きくなりますが、間違いなく自己成長出来ます。起業家思考の学生さんは、そういった厳しい環境に身を置き、失敗を沢山して、ときには大いに怒られ、強い精神を育てるべきです。
もう一つオススメしたいのは、海外へ行くことです。特に東南アジア圏がよいでしょう。東南アジアを訪れると、いかに日本が恵まれていて、平和ボケしているのかを肌身に感じます。向こうの人は目がギラギラしていて、皆ハングリー精神に溢れ返っているんです。そういった意味で、発展途上国や新興国へ行き、現地の方々と触れ合うことは皆さんにとって、とても良い刺激になると思います。
起業は楽しいです。経営者は最高に贅沢な人間修行なんですよね。人の気持ちや考え、痛みをよく理解出来るようになりますし、忍耐力もつきます。人のためにたくさんのお金を使うこともできるようになり、人として大きく成長できます。多くの人が起業し、そこで人間性を磨き、世の中のお役に立ち、世の中を変革するような人間を目指してくれると嬉しいです。