人間らしく豊かな暮らしを考え直したい
株式会社meguri 共同代表取締役/田村 真菜
人生なんでも経験になるので、やりたければやってみたらいいんじゃないかと思います。富士山に登ってみたいから登ってみる、みたいな。続けることや終わらせることは難しいですが、起業すること自体は難しくないです。紙を出せばみんな起業できますし。成功しなかったらしなかったで、「何が原因で失敗したのか、なぜ最後まで登れなかったのか」はしっかり考える。
やってみないとわからないことって多いですよ。恋愛も付き合ってみないと、自分や相手のどこに問題や課題があるのかよくわからないじゃないですか。起業もそれと同じような感じです。20代とか若いうちは家庭や背負うものがなかったり、失敗もしやすい。やってみたからこそ、「自分は起業よりも組織の中で働く方が向いているかもしれない」とか、「マネジメントが下手だから誰かマネジメントが得意なパートナーを探してきた方がいいぞ」とか、わかると思いますね。
自分のセルフマネジメントが苦手な人は起業で失敗しやすいのかなと思います。体調を崩しちゃうとかももちろんそうだし、メンタル面で落ち込みすぎちゃうとかも。起業したら失敗ってどうしても起こると思いますし、むしろ失敗しかないと思うので、その時に「落ち込みすぎないように精神を整えておく作法」を知っておいてほしいです。そうして、諦めずにやっていればどうにかなるんじゃないかな。
地域の仕事で自然に触れることは、精神を整えることにもつながる
学生時代に立ち上げていた一般社団法人では、私のマネジメントが問題で、20人位いたスタッフが5人位になりましたね。今だったらもっとうまくやれるかもしれないけど、当時は私も「真剣にやる気のない人間はいらない」と言っていて、本当に厳しかった。「なんでみんな私と同じエネルギー量でできないの?」と思っていて、それを押し付けていました。その中でも頑張ってくれた仲間のことは、今でも本当に大切なんですけどね。
「起業したい」と言っている人によく話すことなんですが、「起業して、優秀な人だけと一緒に働きたいのか、それとも雇用を作りたいのか」という視点は持っておいた方がいいと思います。優秀な友達だけを集めて働くのも楽しいですが、それは新たな雇用を生んでいるわけではなく、フリーランスのチームなわけですよね。でももし地域で雇用をつくりたい場合などは、自分と同じ能力の人だけでスタッフを構成することは難しいし、同じレベルの人たちと働く以外のマネジメントを身につけていく必要があります。どちらが正解というわけではなくて向き不向きですけど、どこに意義ややりがいを持てるかは大事なことだと思います。
お金のことは大事ですよね。やっぱり起業したての頃は、そんなにすぐにお金が入ることはない。生活費も稼がなきゃいけないし、事業やサービスを作るのに投資しなければいけない部分もあります。あと、一緒に働く人集めも大変かな。仕事をお願いできる人を学生時代や前職などで、起業するまでに作っておけるといいと思います。私は、学生時代から「この人とはいずれ一緒に働きたい」という人には目をつけていました。そういう人が10人20人とかパッと出てこないと難しいかもしれないですね。