人間らしく豊かな暮らしを考え直したい
株式会社meguri 共同代表取締役/田村 真菜
学生時代からまわりに学生起業家もいて、「起業しないのか」と私自身も結構言われていましたが、起業しなかった。たいした中身もないのに「学生起業家」という下駄だけ履かされるようなのは嫌でした。女子大生が起業すると、それだけでメディアに露出させてもらったり、周りの人が「頑張ってるね」ってちやほやしてくれたりすると思います。でもそれって、自分の力ではなくて、若いからだとか女子だからですよね。「それで天狗になっちゃうと、その先に伸びがないな」と思ったんです。
一方で、大学生のうちにチャレンジするのは大事なことだと思います。大学生のうちになにかしら旗を立ててやってみる。起業でなくても、マイプロジェクトをやるとか、どこかのNPOや企業インターンでマネジメント経験を積むとかでもいい。私も、大学時代から一般社団法人を立ち上げてマネジメントをやったり、人前でプレゼンする機会を与えてもらったり、その時学んだスキルやリソースは今に活きていると思います。
私、自分のピークを40代以降に持っていきたいし末永く働きたいんですね。「学生のときだけ注目されて、その後は鳴かず飛ばずでは困るよな」と思う。学生時代にチャレンジしてみる、若い時に起業してみるのはいいと思いますが、人から持ち上げられてもある程度さっぴいて考えた方がいい。楽しくあることや自信を持つことは大切ですけれど、自分の実力を常にシビアに捉えて謙虚でありたいし勉強し続けたいと思っています。
女性のキャリアについてみんなで考えるイベントなども、会社で行っている
うちの会社は、「次世代に還元できる人が育つ社会をつくる」をビジョンに、「人間らしく豊かな暮らしを実践する人・組織をサポートする」をミッションに掲げています。「人間らしいとは何か、豊かであるとはどういうことか」というのは個人で違うと思うし、うちのスタッフにはそれぞれがそのテーマを考えてほしいと思っています。
私自身は、豊かさを考えた時に、「野性や霊性をもうちょっと人が取り戻したらいいな」と思っています。自分はその入口・インターフェースになりたいんですよ。震災や狩猟を経験して思ったのですが、「機械がない中でどうサバイブできるか」はすごい大事なことで。現代を生きる人は、有事の際に生きるスキルが低すぎるように感じますし、殺したり食べたりってことに対して命のやり取りが見えなくなっているようにも感じます。
それは食だけではなくて医療においてもそうで、現代では9割のおじいちゃんおばあちゃんが病院で亡くなってます。若い人にとって、人が死ぬところを見る機会ってすごい減ってるんですよね。「見えない存在への畏怖を持つこと、震災も含め自分の力ではどうしようもないこと、死と向かい合うことで祈りという感覚を持つこと」が人にとって大事だと思ってます。
最初に起業の話でお話ししたような「社会的な自分」と、野性や霊性、身体的な部分などの「動物的な自分」と、どちらも人は持っていた方がいいと思います。女性のキャリアという意味でも、働きすぎて不妊になってしまう女性や、仕事で出産をあきらめざるを得ない女性ってやっぱりいらっしゃいますよね。でも社会の中で活躍するのと同じくらい、アニマルとして、雌としての人生選択っていうのは大事なことだと思う。疲れたら休むという動物的な感性を持ってほしいですし、自分の身体の感覚を大事にしてくれる人が増えるといいなって思いますね。
「起業したい」とか「ソーシャルビジネスをやりたい」という話を聞くと、「なんか不思議だな」といつも思っています。そうした形態よりも前に、「誰の役に立ちたいか」があるような気がしますね。もしかしたら自分のやろうとしていることって、企業の中でも達成できるかもしれない。誰の役に立ちたいかを考えて、それが企業の中や既存の枠組みでは達成できないと思ったときに、起業という選択をとるのかなと思います。まず、「自分の人生、誰の役に立つことに使いたいか」を考えてみてほしいですね。
本記事の作成者:片山 健人
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