意義に対する”尋常じゃないこだわり”はあるか?
株式会社エアークローゼット / 代表取締役社長 兼 CEO 天沼聰
メインはファッションレンタルサービス『airCloset』というサービスで、事業内容としては月額制のファッションレンタルを行っています。ウエディングドレスやフォーマルウェアといった類のファッションレンタルは前からあるのですが、我々の場合、日本で初めて「普段着」に特化したレンタルサービスを、サブスクリプションの形で提供しています。これも日本で初めてですが、スタイリングを我々が提案するオンラインでのパーソナルスタイリングの仕組みも作ってきました。
実は、事業の実現可能性はあまり意識せずに起業しています。会社としてお客様やステークホルダー、すべての人の時間価値を高めたいというのが、僕らの目的でありビジョンだったので、あとはそれをどういう風に実現するのかを考えるだけでした。
当然、今は社会的にサーキュラーエコノミーへの転換が求められていますし、ファッション業界でもサステナビリティがすごく大切になってきています。そうした中で、とにかく安価なモノを大量に売り続けるということは、持続可能だとは言えません。そう考えたときに、さらに大量生産を促すような事業ではなく、よりサステナブルな事業を合理的にやりたかったので、結果としてレンタルの仕組みを採ることにしました。つまり、近視眼的に儲かりそうなことよりも、人々のライフスタイルをより変化させてより良くすることの方が、自分たちが心から『やりたい』と思えたんです。
ありません。
というのも、我々の定めたゴールは、「時間がなくてお洋服に出会えていない方たちに対して、日々の生活リズムを変えなくても新しいお洋服に出会えるような生活をお届けすること」です。これをどう実現するのかというのがビジネスモデルなので、逆に既にあるビジネスモデルから考えてしまうと、ゴールが曖昧になってしまうのだと我々は考えています。色々な起業の仕方があると思うのですが、『こういうライフスタイルをお届けしたい』というゴールを明確に定義してスタートしているのが我々の在り方です。なので、それを実現させるためには、ビジネスモデルも使うテクノロジーも極論変わっていいというスタンスなんです。ビジネスモデルやテクノロジーは全部手段なので、我々は「手段」と「目的」をしっかり意識して分けています。「どの山を登るのか」と「どういうルートで登るのか」は別物ですよね。
全方位に課題がありました。
特に我々はゼロベースで考えたビジネスなので、明確な模倣先が存在しません。となると、すべてゼロから業務フローを組み立てなければならないので、そこはかなり苦労しました。それから、創業メンバーの3人ともコンサル出身で、ファッション業界に関する知識もコネクションもなかったですし、当然お金もなかったので、「ヒト・モノ・カネ・情報」という経営資源がゼロの状態でスタートしています。実際、業界の知識を持ち合わせていなかったのもあって、倉庫会社の営業はすべて断られてしまったんです。
ただ、これらの困難に対して『難しい』と思うタイプの人は、おそらく起業は合わないと思います。それよりも、『どう実現しようか』とチャレンジする姿勢がすごく大事で、性格上私たちは後者だったので、課題に向き合うことはもちろん”大変”でしたが、”辛い”というネガティブな気持ちにはなりませんでした。