MOTAが仕掛ける中古車業界のフェア・トレード革命
株式会社MOTA / 代表取締役社長 佐藤大輔
私の原体験は、幼少期に遡るんです。祖父が小さな会社を経営していて、その姿を間近で見て育ちました。その影響で、物心ついた頃には、「祖父のように自分で事業を創りたい」って思っていましたね。そして、大学時代。Windows98の登場は、私にとって衝撃的でした。「これからは、コンピューターが世の中を大きく変える!」そう確信したんです。その頃から、本格的に起業を意識し始めましたね。大学2年生の頃から、仲間と様々なビジネスアイデアを出し合って、ああでもない、こうでもないと、試行錯誤していました。あの頃の経験が、今の私を創っているのかもしれません。
アールジャパンは、趣味だったオートバイのマッチングサイト運営を主事業とした会社でした。お陰様で、事業は順調に成長し、2年後には、ある投資ファンドにM&Aで売却することになりました。この経験から得た学びは、本当に大きかったですね。売却後、私は子会社の社長と、買収元企業の役員を兼任することになったのですが、これが想像以上に大変でした。特に、急増した部下とのコミュニケーションには苦労しましたね。若かったこともあって、自分の考えを押し付けてしまうこともありました。特に、買収された側の社員との信頼関係構築には、本当に多くの時間と労力を費やしました。あの経験から、「まずは相手を認め、信頼すること」の大切さを、身をもって学びました。経営者としての器が、少し大きくなったかもしれませんね(笑)。
はい、最初の起業がうまくいったことで、正直、少し天狗になっていた部分があったかもしれません。2度目の起業では、訪日外国人向けの旅行Webサービスを立ち上げたのですが、これが当初は全くうまくいかず、苦労しました。なんとか別事業を起ち上げ、収益的にはテイクオフできましたが…そこからのビジョンを描けずにいました。正直、焦っていましたね。というのも、当時私は35歳。友人たちも各企業で責任あるポジションで大きな仕事をする中、「自分は何をしてるんだろう」と。そんなとき、我々を買収したいという企業が現れたんです。「改めてこれからの人生を考える良い機会かもしれない」と売却を決意しました。
その後は売却先にて経営に携わっていましたが、ある時、オートックワン社(現MOTA)を買収する機会に巡り合わせました。ただ当時、同社は赤字続きで非常にコンディションが悪く、まさか自分が社長になって立て直していくことになるとは思っていませんでした。
でも、取締役として参画して、改めて自動車流通業界の現状を目の当たりにした時、考えが変わったんです。「この業界には、まだまだ大きな課題がある。そして、それを解決できる可能性が、MOTAにはある!」そう確信したんです。この業界、そして世の中をもっと良くしたい、何かを成し遂げたい。もともと起業家になりたかったのは、何かを変えたいという気持ちがあったからだとこのとき立ち返ることができました。当時の私は40歳。これまでの挑戦を糧に、自分の手で業界を変えていきたいと思い、社長となって、変革にチャレンジしていくことを決意しました。