意義に対する”尋常じゃないこだわり”はあるか?
株式会社エアークローゼット / 代表取締役社長 兼 CEO 天沼聰
1979年生まれ、千葉県出身。高校時代をアイルランドで過ごし、英ロンドン大学コンピューター情報システム学科卒。2003年アビームコンサルティングに入社し、IT・戦略系のコンサルタントとして約9年間従事。2011年に楽天株式会社に転職し、UI/UXに特化したWebのグローバルマネージャーを務めた後、「“ワクワク”が空気のようにあたりまえになる世界へ」をビジョンに、2014年7月に株式会社エアークローゼットを設立。日本で初めての普段着に特化した月額制ファッションレンタルサービス『airCloset』を立ち上げ、日本サービス大賞「内閣総理大臣賞」を受賞。2022年にグロース市場上場。一般社団法人シェアリングエコノミー協会 理事を務める。
そもそもファーストキャリアでコンサルティングファームを選んだのには、2つの理由があります。ひとつは、社会人としてのベースの「ビジネススキル」が最も身につけられると思ったからです。もうひとつは、自分が当時苦手だった「プレゼンテーション」の場数を踏むことができるからです。実際、ベースのビジネススキルやプレゼンテーション能力、ロジカルシンキングなど、コンサルタントとして身につけられるようなことは、基本的にすべて学んできたと思います。
コンサルタントはどこまでいっても事業の外にいる人間なんです。実際に自分が手を動かしてPDCAを回しても、「評論家」でとどまってしまうので、自分の中ではもう1歩踏み込んだ「実践家」でありたいという気持ちが強くなりました。
それから、コンサルタントは皆同じ道順をたどって昇進していきます。アナリストからコンサルタント、シニアコンサルタント、マネージャー、シニアマネージャー、パートナーというように、コンサルタントのルートは一本道なので、比較的容易にリーダーシップを発揮できるわけです。例えば、自身がマネージャーだったら、シニアコンサルタントやコンサルタント、アナリストの立場の人から見ると、自分が彼らの上位互換になります。例えとして、魔法使いなら上級魔法使いに習いたいと思うに決まっているわけです。ただ、起業して経営者になるということは、もっと多種多様な人たちに向けてリーダーシップを発揮しなければなりません。自分が例え上級魔法使いだったとしても、戦士や僧侶になりたい人も率いていく必要があります。そんな人たちをどうチームとして1つにしていくのかが、イメージできる必要があると考えました。
そう考えたときに、0から創業して1つのサービスを軸に多角化経営を行い、グローバルに戦える企業を育てたのが三木谷さんだったので、知り合いのエージェントに紹介をしてもらって楽天様に転職することにしました。楽天様で学んだのは、実務というよりも三木谷さんの組織作りや経営思想です。自社の組織作りにおいても、すごくそれは生かしています。
「ビジョン・文化の浸透」の重要性です。
それぞれの価値観がバラバラの中で、1つの文化を作っていくことは、非常に難しいです。我々の場合、創業前にビジョンや『9Hearts』という行動指針を作っており、「どういう組織文化であるべきか」という自分たちが作りたい組織像の明確化と言語化をしています。そして、この組織像とマネジメントがしっかり一致していることがすごく大事です。基本的にその理想像と今の自分たちの姿を常にウォッチし続けて、足りない部分を補い、伸ばすべきところを伸ばすことの繰り返しです。組織作りで最も重要なのは、自分たちの理想的な組織との乖離にどれだけ気付いてるのかということだと思います。
我々は、使うべき言葉と使わない方がいい言葉を定義をしており、社員同士でその指摘をし合っているくらい徹底させています。その言葉を使わない理由まで言語化をして、組織の文化として根付かせていこうというのが我々の考え方です。