自分の強みを活かす戦略
株式会社ティーシーコンサルティング 代表取締役社長 / 冨田 賢
良し悪しは別として、成功確率の面から言わせて頂くと、一度社会に出て、ビジネスを実際に体感してから起業した方が成功確率は上がります。私はベンチャーキャピタル、銀行員、大学講師など幅広く経験して、そこで得た経験や、世界のトップレベルの方達との交流があったからこそ、現在自分の会社を持ち、多くのコンサルティングや、執筆・講演などの活動をさせていただいています。それらの下地がない状態で成功するのは、なかなか厳しいのではないでしょうか。
ビジネスでは、自分の強みを活かす戦略が重要です。苦手なところを平均レベルまで上げた所でビジネスでは全く意味はありません。強みをより強くすることが重要です。強みを見つけ、強みをより強くするためにも、一度社会に出てから起業した方が成功するのではないかと思います。
常に何かを学ぼうとする姿勢、これに尽きますね。例えば講演会で言えば、つまらないと思って何も吸収しない人と、ちょっとでも何かを吸収しようとする人がいますが、その差は大きいです。それと、高学歴な人にありがちなのが、『自分は優秀だ、選ばれた人間だ』と勘違いして、学びをやめてしまうこと。非常にもったいないので、常に何かを学ぼうとする姿勢を身につけ私は学生時代からずっと毎月決まった金額を自己投資として本に使っています。幅広いジャンルや難易度の高い本や論文を読むことを習慣づけると、次に何か読む時の吸収力や理解力が格段に上がります。また、情報感度や収集能力を高めることも大切で、今も日経新聞のスクラップは学生時代からですので、かれこれ20年以上行っています。 新聞3紙は細かくチェックして、必要であればスクラップも欠かさず行っています。こうしたことの積み重ねが、後に大きな差となります。
話をまとめると、
1. 常に何かを学ぼうとする姿勢
2. 情報感度を高めておくこと
入社した後も、是非これらを意識して下さい。
学生時代に限ったことではないですが、人と違った事をすることです。日本は横並び意識、同調意識が非常に強い。しかし、ビジネスの世界では、自分自身の価値を打ち出さなければならないのです。かつては、与えられた事をミスなくこなすことに価値がありましたが、今では「自分にしかできないこと」に価値があります。企業の大小に関わらず、今活躍している人達の共通点は『オリジナリティ』があることです。
企業選びに関して言えば、実は日本人は競争が大好きなんですよ。事実として、企業選びの基準は、皆が行きたい人気のある有名企業ですよね。そこにこぞって挑戦していきます。その結果どうなるかと言うと多くの人が埋もれてしまうのです。そもそも皆が行きたいような会社に入れる人は、ポテンシャルが高い本当に優秀な人達なんです。そうした人達の中に入って同じ土俵(人気企業)で勝ち残ることはかなりハードなことだと思います。大切なのは、自分の強みが生かせる場所で勝負することです。
学生に限らず、社会人も、とにかくこなす「量」が足りない人が多いと思っています。私の学生時代は、金融分野に関して読める物はほとんど全て読み、その分野での知識は誰より持っているという自信がありました。ですので、日本ではなくアメリカのウォールストリートの銀行を就職先として探し、実際に働くことができました。最初は自分の分野でとにかく「量」をこなしていって下さい。後にそれが「質」へと転化していきます。
志望動機が社会や企業に恩恵をもたらせるか否かを考えて下さい。やりたい事がめぐりめぐって社会や会社に恩恵をもたらすのであればいいですが、単純に自分のやりたい事をやらせてくださいというのはちょっと違いますね。会社では、あなたがやりたいことをするだけではなく、売上・利益を上げることでいかに会社に貢献し、そして、その仕事を通じて、いかに「社会貢献」するかが大切です。就職活動は、自分のやりたい事が叶うことと、その会社に自分が貢献できる先を探すことに尽きます。
今の学生は、時期としてチャンスに恵まれていると思います。変化の少ない時代では、若いうちにチャンスに恵まれることが少なくなります。ですが今は、変化の大きい時代なので、むしろチャンスは多いと思います。
例えばスマートフォンの様々なサービスなどは、若い人だからこそ理解できる部分が多いわけですから、若い人の方が力を発揮して、会社に貢献できることはたくさんあります。そうしたチャンスを逃さず、是非若い感覚・才能を活かして欲しいです。そして、特に伝えたいことは、バブル崩壊やリーマン・ショックによって日本人の価値観が大きく崩れたということ。大企業が良いという考えは、高度経済成長期には経済合理性がありましたが、今は違います。そんな時代は既に終わっています。自分がどこの分野で活躍できるかを、考えてみて下さい。
まだまだお伝えしたいことは沢山あるのですが、より詳しい内容は、今秋に発売予定の『世界のエリートが教えるちょっとした仕事の心がけ(仮題)』(マイナビ新書)に学生の方に届けたいメッセージを書いたので、是非読んでみてもらえたらと思います。今後皆さんがご活躍することを願っています!