起業家にとってのメリット
ワイケイハンデルインコーポレーテッド / 上方 陽一郎
少し恥ずかしい話になってしまうんですけれど、起業がしたくてした、というよりは起業せざるを得ない状況だったんです。もともとはいろんな仕事をやっていました。学生の時には学習塾を立ち上げたり、大学を卒業してからは機械を扱ったり、機械部品を扱う仕事をしていたり、起業する直前には食品を扱う貿易関係の仕事をしていました。貿易関係の仕事をしようと思ったのは、日本は貿易をしていかないと食べていくことが出来ないと思ったからです。皆さんもご存じの通り、日本は食料自給率が先進国の中でもとりわけ低水準なんです。その問題を解決していこうと思ったのが起業するきっかけなのかもしれません。
最初に貿易の仕事を選んだのがきっかけです。貿易関係を選んだのは、海外には日本国内で出来ないものがたくさんあるからです。
例えば、コストが合わなかったり、そもそも原料が国内になかったり、そういうものというのはどうしても海外から持って来なければならないのです。ただ、そういう大規模な問題は大手の企業がやっているので、我々はもっとニッチ(隙間。特定の企業しか参入できないような市場)な分野で何か出来ないかなと思い、大手の企業がなかなかやらないことを始めました。例えば、在庫が嵩んでいる企業の代わりに商品を売るといった、物流に関連することで困っていることがあれば助けていこうというスタンスをとっています。それに製造業の零細企業のお手伝いもしています。本当は日本の製造業は世界から見るとものすごく強いんです。町工場が新しい技術を開発したという紹介記事が新聞の片隅に書かれていても大抵の人は見落としがちです。私はそういう隠れた素晴らしい技術を探しては世間に広めようとしています。また、そういう優れた技術を欲している人もいます。双方を繋げる「お見合い」のような場を設ける形を作って活動しています。そうやっていくうちに、様々な事業を手掛ける現在の会社に至ったのです。
そうです。小さな会社、というのは本当に強い要素だと思います。大きな会社だとフットワークが重くなることが多いですよね。
例えば大手の商社では、以前は利益が数億円見込めなければ、プロジェクトとして成立しなかったのです。今ではそこまで機動力が乏しいということはないと思いますが、未だに小さな規模のプロジェクトはなかなか取り組みづらい現状はあります。そういった面で、小さな会社は動きやすいので優れていると思います。加えて、日本にはニッチなマーケットは非常にたくさん存在しているので、多様性があります。元から「こうしなければいけない。」というような決まり事は他の国から見ると日本にはないので、世界中からいろいろな物が入ってきてもそれらを受け入れるだけの土壌があるのです。