多様性こそクリエイティビティの源泉
株式会社カブク 代表取締役 / 稲田 雅彦
「多様性」です。これは研究していた人工知能から導き出される一つの教えでもあります。自分の最終ゴールを大きな山とした時に、RPGのようにパーティを組んでみんなで登るとしたら、それぞれが思考や得意なことが違う色んなメンバーで登った方が最終的により大きな山に登れます。個人としての多様性もそうですが、チームとしても多様性があった方が様々な環境に対して強くいられます。なにかあっても違う解決策を導きだせるからです。なので、個人としてもチームとしても「多様性」が重要だと思います。
自分の場合だとアートに手を出したり、サイエンスやビジネスに手を出してみたりと、一見バラバラに見えますが、実は密接につながっています。スティーブ・ジョブズがスタンフォード大学の卒業席向けの有名なスピーチで言っていた「Connecting dots」の話そのものだと思います。全く関係ないことがつながって出来上がるのが多様性だと思っています。直接的に関係性がないことを損得勘定で切り捨てることは簡単ですが、大きな山に登りたいと思ったら、そのような点をつなげて、自分の中の多様性を増やすことが重要だと思います。
僕は大企業に行った道しか知らないのでなんとも言えないのですが、最終的に目指す山が同じで、そこを目指して歩いていれば、東から登ろうが西から登ろうが対して変わらないと思います。もしかしたら片方の道は50キロ長いとかはあるかもしれませんが、結果としてたどり着く所は一緒です。僕も理系に行って、文系に行って、結果として今は物づくりの道にいますし、どの道を通るかは大して重要ではないと思います。なので、自分が登る道よりも、最終的に目指す山を決めることが大切だと考えています。
好奇心が旺盛な人は魅力的ですね。今まで経験したことがないことに対して前のめりに取り組めるかどうかは重要です。人には自燃型と他燃型があると思うんですが、自分で火を付けられる自燃型の人の方が魅力的ですね。あとは、やっぱり「多様性」。色んな事に興味がある人の方が何をやるにしても色んなアイデアが出てくると思います。
会社としては「ものづくりの民主化(ものづくりをひらかれた世界にする)」というのがビジョンなので、そのための一手一手を確実に打っていこうと思います。また、すでにグローバル展開も始めているので、グローバルも含めて拡大していきます。
ノリの良い人は例えばアーティストのライブ会場で「楽しいから両手をあげる」かもしれませんが、逆に「両手をあげると楽しくなる」という体験もあります。それは、身体と精神の結びつきが逆の流れで起こっているからです。「あんまり興味はなくても、とりあえずやってみる」という姿勢はそう意味でも大切だと考えています。僕自身、学生時代も今も、なにか新しい事があったらサインアップしてみる、甘噛してみるっていうのは常にやっています。
あとは、どうでもいいこと、ある意味無駄だと思えることをたくさんやってみて下さい。
学生時代の方が、社会人にとって無駄なことがたくさん出来ると思うんです。それによって引き出しが増えて、そこからクリエイティビティが生まれたりします。学生時代に培った無駄なものが、将来のクリエイティビティにつながってくるんです。僕もエンジニアだけじゃなくて、サイエンスからアートやデザイン、ビジネスなど、様々な所でたくさん無駄な事をしてきました。でもその経験があるからこそ、今の僕があるんです。