自分でレールを敷く人生
株式会社レアジョブ 代表取締役会長/ 加藤智久
インターンの大学生が起業家へ取材する!起業家インタビューのthe Entrepreneur(アントレプレナー)
1980年生まれ。高校時代に大前研一氏主催「一新塾」へ最年少で入塾。「自分でレールを敷く人生」に目覚める。
一橋大学在学中に1年休学しベンチャー企業で経験を積み、起業家となることを決意。卒業後、外資系戦略コンサルティングファームへ入社。
2007年に高校時代の同級生だった、現社長中村と株式会社レアジョブを設立。
フィリピン人を講師に据えたオンライン英会話で、25分129円~という低価格と利便性・質の高さが人気を博し、 2014年に東証マザーズに上場。2015年6月より現職。
「Chances for everyone everywhere」というビジョンのもと、英会話を通じて世界中の人々が国境や言語の壁を越えて活躍できる社会の創造を目指している。
スカイプで25分129円からマンツーマンでの英会話レッスンを受けられるオンライン英会話サービスを提供しております。英会話レッスンと聞くと、高額なサービスを連想される人もいるかと思いますが、レアジョブでは非常にリーズナブルな英会話レッスンの提供を実現できています。この価格体系を実現できているのは、現地のフィリピン人がインターネットで日本のお客様と直接英会話レッスンをするというビジネスモデルになっているためです。現在フィリピンには4,000人の先生がおり、日本のお客様数は累計で40万人になっています。
そもそもスカイプに関わったサービスで起業をしたいという考えを持っていたのがレアジョブ誕生の発端となっています。私は2003に年メキシコへ長期の旅行に出掛けていたのですが、その時にスカイプと出会いました。スカイプを利用してみて直ぐに「これはすごい」と思いました。遠くにいる相手とまるで自分の目の前にいるかのように話ができて、しかも無料なのです。これだけ素晴らしいサービスにも関わらず、当時はまだ私の周りにスカイプを利用している人はいませんでした。スカイプは大きなビジネスチャンスとなるに違いないと思いました。実はスカイプを使った英会話サービスを始める前に、中国語会話のサービスをリリースしていました。しかし、思っていたより中国語を学習したいというニーズがなく、人気が出ませんでした。友人からも英語であれば利用したいという意見をもらったため、英会話サービスに変更しようと思いました。そして英会話の先生をどこから集めるか考えた際に、2つの選択肢がありました。 1つは、国内にいる英語を話すことができる外国人に協力してもらい、一般的な通学制英会話の半額ほどの価格でサービス提供をする。 もう1つは、日本とフィリピンをインターネットで繋いで4分の1以下の価格で英会話サービスを提供するという方法でした。 最終的に「フィリピンと日本を繋いで英会話サービスを提供したい」と思い、フィリピン人を講師に採用したオンライン英会話でビジネスをスタートすることに決めました。
実は創業当初、フィリピン人を先生としたオンライン英会話のサービスは既にいくつか存在していました。そのため、比較的早い段階でフィリピン人となら日本人向けのオンライン英会話のビジネスを成り立つことが分かっていました。しかも、いずれの競合サービスもスケール的には小さく留まっており、先生の数も数十人程度でした。新規で参入して成功する余地は十分に感じていましたね。
それに私自身もアメリカ人やスリランカ人など、色々な国の人たちをリサーチをした結果、やはり「フィリピン人が一番良さそう」という結論に至りました。理由としては3つあります。一つ目は、英語力が高いこと。フィリピンでは公用語が英語で、小学校の頃から学校の授業がほとんど英語で行われていたり、欧米企業のコールセンターの数はフィリピンが一番多く、ビジネス英語レベルとしてのスキルも評価されています。二つ目に、当時のフィリピンは仕事が不足しており、どんなに優秀な人材がいても就職先がない状況だったため、優秀な人たちを活用できるチャンスがあり、そのような人たちに雇用の機会を届けたかったこと。三つ目はフィリピン人の国民性です。フィリピン人は人をもてなす精神に優れているため、英語をうまく話せないことにコンプレックスを感じている日本人に対しても、フィリピン人は親切に接してくれるという強みがあったのです。
オンライン英会話を事業化させるためには、先生とウェブサイトの2つが必要になります。その2つが揃って初めてお客様を集めることができるようになります。ウェブサイトの方は、私の中学、高校時代の同級生である現社長の中村と一緒に作り上げました。
その当時、まだ私はサラリーマンをしていたのですが、私が働いていた戦略コンサル系の会社は有休をまとめて取りやすい環境でした。そのため会社から3週間ほどの休暇を貰い、とりあえずフィリピンに私が行ってみることにしました。
フィリピンで先生を集めるための予備知識は全くなかったのですが、とりあえず「日本の東大のような存在であるフィリピン大学へ行ってみること」にしました。
実際にフィリピン大学に行ってみると大学内に宿があり、まずは学内に滞在しました。
宿には受付の人が居たため、「英語をインターネットで教えてくれる先生を募集したいのですが、どこに行けば良いと思いますか?」という質問をしてみたのです。
受付の人は「何を言っているのかよくわからない」という反応でした。しかし、私も何のアテもありませんでしたから、100点満点の回答でなくてもいいので、少しでも何らかの情報を貰いたかったのです。だから私は「私は貴方が教えてくれた場所に何かヒントがあるはずだから、何でも良いから少しでも教えてくれ。」と頼みました。
すると、受付の人は「インターナショナルセンターに行きなさい」と教えてくれたのです。