オリジナルにこだわる
笑屋株式会社 代表取締役 / 真田幸次
学習院大学経済学部卒業後、2006年4月より株式会社フルキャストにて子会社立ち上げに従事。入社2年目で支店長・営業マネージャーと歴任し、支店管理・マーケティング・組織マネジメントを担当。その後、独立系ベンチャーキャピタルにて「ビジネススクール事業部」にてカリキュラム策定やメンタリング、起業家と投資家のマッチングイベントでは総責任者を担当。2009年1月に笑屋株式会社を設立、同年5月より創業。
弊社は、同窓会を軸にしたコミュニティビジネスを展開しています。人は生きていく中で様々なコミュニティに属します。その中でも弊社は、過去のコミュニティをリメイクする、いわゆる「同窓会(OB会)」コミュニティの事業に特化しています。現在は同窓会代行サービス・同窓会SNS・学校向け名簿管理クラウド・行政共催の30歳大同窓会イベントなど同窓会に関連する様々なサービスを行っており、ビジネスモデルはBtoC・BtoB(企業・学校)・BtoGと多岐に渡るハイブリッドなビジネスモデルとなっています。リアルとネットそれぞれのアプローチを組み合わせてコミュニティリメイクし、そしてさらにそのコミュニティを永続させるというところに弊社の価値があります。
弊社では20代から70代まで幅広い世代の方々にサービスを利用して頂いていますが、世代ごとの人の繋がり方が早いスピードで複雑化してきている点が変わってきています。60〜70代は住所や電話、50代からメールが登場し、30〜40代はFacebookの繋がりが都心を中心に増えていて、反対に20代前半はFacebookの利用者は少なく、LINEやTwitterなどがメインツールになっています。昔なら往復葉書を一斉に送って人が集められましたが、今の時代はそんなに簡単ではなくなっているということが言えるでしょう。そしてさらに今後は、コミュニケーションツールがより複雑化していき、またそのツールの移り変わりも激しくなると予測されます。このような時代において長く続くクローズドコミュニティを作れるのが我々の同窓会サービスですので、ここには新しい価値が生まれてきていると思っています。Facebookのような一般的なオープンSNSは、使うほどソーシャルグラフが混ざり合い居心地が悪くなりますが、クローズドコミュニティは使うほど写真やイベントなどの情報が蓄積され、価値が高くなります。
また、同窓会事業を続けている中で、この仕事の潜在的な価値を再認識する瞬間が増えています。モノが満たされているこの時代で人が何に幸せを感じるかを考えた時、良い家や良い車を買うなどモノや情報が少なかった時代の価値観は薄れつつあり、反対にコミュニケーション・人とのつながり・承認欲求など「感情」に関するところで幸せを感じる人が増えてきている実感があります。そういった意味では、同窓会事業を含むコミュニティビジネスの価値や可能性は今後さらに上がっていくだろうと思っています。
私の中での起業に対する「こだわり」から同窓会事業につながっています。それは「オリジナルな事業・サービスにこだわりたい」というポリシーです。起業を調べるほど、ベンチャー企業はどこかの企業の下請け、代理店や受託開発などが多いことに気が付きました。スタートアップもタイムマシン経営が多かったりしますよね。しかし、その一方で世界的な成長企業や長く続くハイブランディング企業は0から1でオリジナルな商品・サービス・世界観を築き上げて、ファンが積み上がっていき、いつの間にか世の中になくてはならないものになっているなあと。私は起業の意義・面白さ・醍醐味はまさにこれだと思っています。ただ初回の経営リソースや実績がない中では0→1事業はどうしてもニッチな領域になってしまう。そんな中で創業当時に事業リサーチをして、いくつか事業アイディアが生まれましたが、そのニッチな中でもスケールすると規模の大きい事業になりそうだったのが同窓会事業(同窓会をフックとしたコミュニティサービス)でした。