学が無くても才があれば良い!
A.Cast.Partner’s 株式会社 代表取締役社長 / 根布 和明
私は中学を卒業してから社会に出ました。当然、若さもあり、なんとなく今を楽しみながら生きていました。それが段々「俺はこのままでいいのだろうか。」と自問自答するようになり、日常が退屈に変わりました。そんな時、ちょうど本屋の店頭に並んでいた雑誌を眺めていると、「19歳の青年実業家、不動産で大成功!」という文字が目に入ってきました。そこには自分(当時18歳)と1歳しか変わらない少年が不動産業を始めて大金持ちになり、彼女はミス・ユニバース、愛車はフェラーリという僕の世界とは程遠い夢物語が書かれていました。時代はバブルだったんですよね。
しかし私はその記事を読んだ時の感想は、やはり「なんで?」でした。その後は、すぐさま地元の北海道を離れ、その「なんで?」の理由探しをしていました。
逆に、何も考えてなかったのかも知れないですね。それに、早くこの北海道を離れなければという気持ちもありました。私の場合周りには「成功したい!」とか「金持ちになりたい!」とかいう野心を持った人間は居なかったので、僕と同じような野心を持った同士と出会える環境に身を置く必要があると感じ、地元を離れました。振り返ってみると、その決断が良かったですね。周囲の環境って凄く大切で、周りが意識の高い人間だと自分も触発され行動的になります。
不動産業に就くまでに色んな仕事を経験しましたよ。最初は関西に行きました。社会に出てからは、道路工事から始まり、バーテンダーからの会計事務所、さらにはゴルフ会員権販売や訪問販売など多岐に渡った仕事をこなしました。最終的には、「仕事手伝って欲しい」という知人の依頼から、不動産業をすることになりました。その辺あたりのすったもんだのエピソードは書籍にも書いていますよ。 ただ、私はすぐに不動産会社に就職しなくて良かったと思っています。もしそうしていたら、今の自分ではないですから。私が不動産会社を始めるまでの道のりがかえって自分の強固な土台を作ってくれたんです。コミュニケーション能力を身につけるステージ、会計の知識を学ぶステージ、精神力や営業に必要なスキルなどを身に着けるステージなど、それぞれ必要な過程がありましたから。一見、遠回りのようですが、それらで学んだ知識と経験が、今の自分を形成する上で重要な役割を果たしてくれたと思います。
私は人より時間がなかったので、実生活に勉強を取り入れるように心がけていました。不動産業に従事した当時、私はシングルファーザーで、朝、子供を幼稚園に送って、幼稚園が終わる頃に託児所に送り、仕事が終わってから、寝ている子どもをおぶって自宅に帰っていました。家に帰った後も、家事洗濯があったので、一息つけるのは大体夜中の2時くらいでしたね。勉強はそのあとです。と言っても眠くもなるので、大して時間がなかったんですよ。だから効率良く勉強をするために、実生活の中に勉強を取り入れるしかありませんでした。例えば、電車に乗っているときも絶好な学習時間です。外を眺め、すれ違うマンションを見て、大体どれくらいの資産価値があるのか査定していました。「このマンションは5階建てで20部屋の部屋が入っている。一部屋5万くらいだと月の月収が100万円、年収だと1200万円。という事は、、、このマンションの資産価値はいくらくらいだな、、、」なんて、電車の中でも家の中でも日常生活のあらゆる場所、時間で仕事のことばかり考えていました。多分新しいことを取得するときって、24時間ずっとそのことだけ考えていなくちゃダメですね。そうは言っても、大切なのは、その24時間集中する期間をいかに短縮するか?。大変なのは最初のほんの僅かな時期だけです。ある一定の期間を過ぎれば、その分野の事が自然に理解できるようになり、脳や体に染みついてきます。
それこそ一番変わりました。仕事をして成果を出していくと、後からお金ってついてくるんですよ。今も決して有り余る程のお金は持っていませんが、生活する上で必要最低限のお金は持っているので、今は必要以上に望んだりしません。要は、「お金を沢山持っている=幸せな生き方をしている」と限らないと気づいたんですね。自分が幸せで、人に幸せを分けてあげれるくらいじゃないと成功者とは言えないと思うんです。だから、私は今仕事でお金を稼ぐことを目的にしているのではなく、会社に関しては「新しい価値を社会に生み出すこと」、そして個人に関しては「立派な人間になること」の二つを目標に目指しています。
100年後も存在し続けている会社だと思います。現在会社がいくら収益を出していても、それは一過性に過ぎないし「成功している会社」とは言いがたいですね。それに誰かがどこかで泣いているようなビジネスはすぐに潰れてしまいます。でも100年後も存続しているということは、必ず誰かの役に立っていて、社会に必要とされている存在なんですよ。だから、私の会社も100年後でも人々や社会に必要とされるような会社にしたいですね。