考えは休みに似たり
ブレークスルーパートナーズ株式会社 / 赤羽雄二
日本を変える方法はたくさんあるはずですが、日本発の世界的ベンチャーを一つでも多く生みだすことが、現実的には最も効果的な方法だと思っています。「あいつができるなら、おれにもできる」ということで、自分でもチャレンジできるんだ、やれるんだ、やらないわけにはいかないんだ、という気持ちになり、挑戦する人が増え、その結果、一つまた一つと世界で通用するベンチャーが増えていけば、あるところから日本は一気に変わっていくと思います。
政治や教育面の改革は、本当に変えにくい。いいとわかっていても中々決めることができませんし、重点的に資金を投入することができません。政治も行政も機能不全がひどく、改善の目途が立っていません。
昨年まではほとんどありませんでした。国や社会を動かすというのは、それくらい困難なことです。しかし、今年になって大きく変化し始めました。それは、Facebook、Twitterの普及による情報伝達の早さ、仲間作りの容易さ、クラウドの普及、iPhone・Android携帯の爆発的成長、プログラム開発環境の大幅改善、少額投資のインキュベータの登場などですね。それらの好影響もあり、起業や、シリコンバレーにもどんどん挑戦していく動きが活発化しています。
シリコンバレーは、アントレプレナーシップが非常に強いところです。世界最強といってもいいでしょう。
世界中から志のある人が集まり、おもしろいことがあれば、すぐ会社を作ってサービス・製品を開発し、勝負するというカルチャーです。週末にはよくパーティーがありますが、そこには起業して大きな利益を得た人がごろごろいるといった、日本では考えられない環境があります。スタンフォード大の学生らは、彼らと触れることが多く、刺激を受けて、新しいサービスをどんどん創りだしています。
そうですね。非常にむずかしいです。スタンフォードを中心としてシリコンバレーが生まれたように、日本にもシリコンバレーのような集積地を作ることは、本来は不可能ではありません。しかし、そのためには、地域の有力者が長期間コミットして資金を提供し、大学の学長が長期にわたって在任して本気で取り組めば、可能です。ただ、最初の立ち上げだけでも最低7〜8年かかります。
日本には、その前に改善しなくてはいけない点がたくさんあります。大企業とベンチャーの関係が、顕著な例だと思います。
大企業がベンチャーの技術や製品を評価し、購入することが中々おきません。アメリカの大企業は、良いモノであれば必ずしも実績がなくても、ベンチャーから購入します。日本人特有の事なかれ主義が根本原因にあります。社会的・産業的な意味での問題解決力が低く、機能不全に陥っている国です。問題があるとわかっているのに、解決しようとしない。解決方法がわかっていても、なんだかんだ理由をつけて実行しない。これでは、日本はなかなか良くなっていきません。先進国の中で、一番文化的に難しい面を抱えていると思います。
ベンチャーとしてもちろん多くの方が成功されていますが、私自身としては、強い志を持ち、実行力のある方とベンチャーを共同創業するアプローチを取っています。
特に、ポテンシャルを非常に重視しています。すなわち、「熱意」、「向上心」、「柔軟性」の3点を重視し、年齢、国籍、性別、バックグラウンドにあまりとらわれず、支援しています。なぜなら、熱意があれば、岩を砕くことができる。向上心があれば、成長し続ける。柔軟性があれば、環境やビジネスモデルの変化に対して苦痛なく変更できる。そういう人であれば、学生であっても一緒にやっていきます。