徹底した顧客洞察がサービスを生み出す
SmartHR 宮田 昇始 「徹底した顧客洞察がサービスを生み出す」
「人を巻き込む力」が、1番かなと思います。
起業当初は、お金もない、信用もないという状態でのスタートがほとんどです。その状態で人を巻き込むことは、非常に難易度が高いです。誰かを採用するのも、投資家に投資してもらうのも、巻き込み力が必要になります。
そもそも会社は、 自分1人ではできないことをみんなで分担してやっていくために、人を採用します。 例えば、プログラミングが得意で、営業が苦手な人がいた場合、営業に強そうな人を引き入れなきゃいけない。
お互い違う人間で、興味関心の分野も違う。そんな相手に「こいつと組んだら面白そうだぞ」とか、「なんかすごく夢があって、一緒にやりたいな」って思わせることが必要です。バックグラウンドが違ったり、得意なことが違う人をどんどん、どんどん引き入れていかなければいけない。
それを何も実績がない時期にやっていく必要があります。人を巻き込む能力は、最初の1歩を踏み出す上でも重要ですし、会社が100人、1000人と大きくなっていく過程でも、重要な力かなと思っています。
最初の誘い方は、「一緒にスタートアップしようぜ」みたいな感じでした。「1度きりの人生なので、自分たちの代表作となるようなプロダクトを作ろう」「そうして、 あわよくば大金持ちになれたら最高じゃない?」みたいな。そんな中学生みたいな伝え方を結構していたんですけど、自分のキャラクターと相まって、割とそれが刺さっていたかなと思います。
スタートアップとかIT業界で働いている人たちにとって、いつか自分の代表作と呼べるようなプロダクトを作りたい、プロダクトに初期から携わりたい、という思いは根源的に持っている欲求だったりするんですよね。 特に、すでに大きくなったサービスに後から入った人たちって、自分がこのサービスを作ったとは思いづらいんですよ。 ただ、これが初期5人の中の1人であれば、「これは、自分が作ったプロダクトだ」と思える。なので、「一緒に代表作となるプロダクトを作ろうぜ」というメッセージは、けっこう魅力的に感じてもらえたと思っています。
実際、今、Nstock(エヌストック)という2社目の会社を起業しているんですけど、この手法は現在進行形で使っています。
よく言われることではありますが、「いつか起業したい」と言っている人が起業しているところを見たことがありません。
社会人になって忙しくなったら、なおさら難しくなります。なので、学生時代の数年間はチャンスです。「いつか起業したい」と思っている学生さんは、まずコードを書いてプロダクトをつくってみると、サービス名を決めてドメインを取得してみるとか、何かしらすぐ始められることがあると思うんです。
その最初の1歩を、学生のうちにと言わずに、今年中になしは、 今月中に踏み出してみると、その後スピーディーに物事が進んでいくかなと思っています。