失敗と主観からみえたプラットフォームの在り方
Peatix Inc. / CEO 原田卓
「プラットフォームの開発方法」が身につきました。
1、2回目のときは、バックエンドの仕組みの設計にすごく集中してしまい、肝心なお客さん目線でのデザインアプローチが足りなかったように思えます。私たちは、Amazon出身だったので、どうデータベースを設計すべきかという仕組みの部分を考えがちです。
この失敗を活かして、Peatixを開発するときには、デザイナーとエンジニアと私という少人数で、根本的にお客さんの体験がどうあるべきかというところから、絵を描きながら作っていきました。
顧客に見せることはありましたが、正直そこまで顧客の意見を聞いてはいないです。
ヘンリー・フォードの名言に、『人に何が欲しいか聞いたとしても、「早い馬が欲しい」と答えるだけで、「自動車」なんて思いつかない』という言葉があります。ユーザーリサーチはある程度参考にすべきだと思うのですが、それだけをデータポイントとして色々判断すると誤る可能性が高いです。顧客に寄り添う、お客さんの声を聞くというと、すごく聞こえがいいのですが、それだけをやっていると伸びしろが限られてくると思うので、0→1のイノベーションを起こすためには、自分たちがいいと思う「主観」を大切にすべきだと考えています。
Amazonをかなり参考にしています。
いわゆる「ネットワーク効果」という考え方で、ユーザーやデータが増えれば増えるほど、プラットフォームの価値が上がるというものです。例えば、顧客がPeatixでイベントを立ち上げたけれど、もっと集客をしたいというときに、大きなデータベースを抱えていると、そこにアクセスして集客の手伝いをすることができます。
このビジョンがあったからこそ、普通だったらやらない経営判断もしています。例えば、ゲスト登録でのチケット購入ができなかったり、チケットの発行をメールではなくアプリで行うように設計しています。もちろん、手軽にチケットの購入や発行をしたいというニーズもあると思うのですが、それが横行してしまうと、ネットワークやデータベースが大きくならず、将来辛くなるのが目に見えていました。
実際、多くの競合ベンチャーが、ゲスト登録やメールでのチケット送付を行った結果、全く成長できませんでした。
色々ありますが、ひとつ大きいのは「海外でもっと伸ばしたい」ということです。特に、アメリカにはこだわりたいです。多くの競合がいてお金もかかるので、難しいとは思うのですが、アメリカで伸びたサービスは必ず日本にやってくるので、日本で負けないためにもやはりアメリカの前線で張り合って学ばなければいけません。
日本は、本当に特殊なマーケットなので、日本だけで事業をやっているとガラパゴス化してしまって、海外では通用しないものが出来上がってしまいます。しかし、”中途半端”に市場が大きい日本は、人口減少や円安があるので、長い目で見ると必ずしも日本だけでやることがプラスばかりではないと思います。これは、日本の多くのベンチャーなり会社の命題だと思うのですが、国外でもなんとか頑張って結果を出さなければいけないと考えています。