この記事でわかること
・組織づくりのフレームワーク7Sについて
・7Sが難しい人のための、社員が自ら動く組織づくりの考え方
・組織づくりにおけるビジョン・目的・目標の真の意味
この記事は、ネットで言われている「一般論」に対して、組織マネジメントの専門家はどう考えるのか?をインタビューし、私たちがより実践しやすい具体的なアクションを聞き出す企画…「組織づくり編」の第3回目となっています(記事のアーカイブはこちら)。
今回は「組織づくりのフレームワーク7Sとは?」「より実践しやすい、組織づくりの考え方」など、内容が盛りだくさんです。
登場人物プロフィール
【インタビュアー】MEGUMI
とある女性向けのサービスを行なっている経営者。それなりの社員を抱える規模でビジネスをしているが、組織の人間関係のトラブルや、離職率の上昇など、組織マネジメントにはまだまだ課題のある状況。
今まで感覚的に行なっていたけれど、改めて、しっかりと学んだ方がいいのかも…と考えていた矢先に、この記事の企画をいただき、インタビュアーとして参加させていただきながら、組織マネジメントを学ばせていただくことになりました。
【専門家】嶋津良智先生
日本唯一の『上司学』コンサルタント。『あなたのもとで働けてよかった』をすべてのリーダーへ」を理念に、中小企業のための、人づくり、組織づくりに特化をした、スクール形式では日本一のビジネススクール『リーダーズアカデミー』を経営。
- 一般社団法人日本リーダーズ学会 代表理事
- リーダーズアカデミー 学長
- 早稲田大学エクステンションセンター講師
- 他、経歴・著書多数
本日もよろしくお願いします!
よろしくお願いいたします。
今日は「フレームワーク」というやつについて、色々とお伺いできればと思っています。
フレームワークですか…また何か調べてこられたのですか?
バレましたか、笑。
実は、色々と検索していくうちに「組織づくりのフレームワーク7S」というのを見つけまして…
(重要なのは後半なので、以下、さらっと読み飛ばしていただいてもOKです。)
組織づくりのフレームワーク7Sとは?
マッキンゼーが提唱する組織変革のフレームワークで、組織を構成している要素(経営資源)を以下の7つに分けて考える方法。
ハードのS「1. 戦略(Strategy)2. 組織(Structure)3. システム(System)」
ソフトのS「4. スキル(Skill)5. 人材(Staff)6. 価値観(Shared Value)7. スタイル(Style)」
計7つ「7S」の観点で組織課題を洗い出していくフレームワーク。
それぞれの要素を簡単に解説すると
ハードの3S
ソフト面の「人材・スキル・スタイル」に大きく影響する要素のため「ハード面」として位置付けられる経営資源のことを指す。ハードの3Sは、管理者の意思さえあれば、変更や構築が以下の順番で比較的容易にできる。
1. 戦略(Strategy)
他の企業との競争に勝つためには、組織の方向性や課題を解決する方法を考える必要がある。戦略によって、ソフト面をどう活用するのかが変わってくるため、重要な要素。
2. 組織(Structure)
戦略をベースに、マネジメント体制などの組織構造を、どのようにすべきか考える。どのような組織を構成するかは、部下のモチベーションや目標達成に大きく影響する。
3. システム(System)
組織が円滑に機能するように作られた仕組みについて考える。具体的には、目標管理制度、人事評価・給与制度、業務管理システム、会計システムなど。
ソフトの4S
ソフトのSはハードのSと比べ、管理者の意思があっても簡単に構築できず、時間と労力がかかる要素。
4. スキル(Skill)
販売力、営業力、開発力、マーケティング力など、組織自体の能力を指し、戦略に沿ったスキルが組織にあるかどうかがチェックのポイント。
5. 人材(Staff)
個々の人材の能力であり、経営の3資源「ヒト・モノ・カネ」の1つを担う重要な要素。組織の価値観を共有・共感できる人材を確保・育成できているか?が大事。
6. 価値観(Shared Value)
企業理念などの「組織が存在する理由」は、個人のパフォーマンスや目標達成に大きく影響する。この価値観は変更するのが難しく、変更後は定着までに労力がかかる。
7. スタイル(Style)
会社の雰囲気や職場環境など「社風」に関わる要素で、企業カルチャーと言い換えることもできる。働きやすい環境など、組織のスタイルが良いと、個人のパフォーマンスが高まる。
Q1.もう少し簡単な組織づくりのフレームワークってないですか?
嶋津さん…フレームワークみたいな型があれば、私にもできるかなって思ったんですけどね…↑が調べて出てきた内容なんですけど…
この7S、めちゃめちゃ考えることが多いというか…結構ハードなフレームワークで、私には無理そうです…。マッキンゼーの方ならサラッと埋められちゃうんでしょうか。正直、もうちょっと優しい考え方があるなら教えてもらいたいなって…。
なるほど。僕も頭が良かったら、こういうことを考えたいところなんですけどね…笑。フレームワークと言えるかはわかりませんが、僕なりの手法ならお伝えできますよ。
おお!過去のインタビューもそうだったのですが、嶋津先生の説明はわかりやすいので是非聞きたいです!
社員が自ら動き出す組織づくりに大切な3つの要素
日本の経営者の方って「社員の方に結果を求める」わけですよね。けれども、よくリーダーの方が勘違いしてるんですけど、社員の方は結果を求めてるんじゃないってことなんですね。
なるほど…。
社員の方が求めているのって、この会社であなたの言うことを聞いて頑張って結果を出したら、その結果を出した向こう側に「自分の求めている何があるのか」っていうことを、知りたがっているんですよね。
そこでこの図を見て欲しいのですが、この「ヴィジョン、目的、目標」が僕は大事だと思っています。
「自分の求めている何があるのか」それが、つまりビジョンなんですね。
まずはこうありたいと思っている、理想像的な「ビジョン」があって、そのビジョン実現のためのマイルストーンとしての「目標」があって、その裏側には常に何のためになぜそれをやり遂げる必要性があるのかという
「目的」がある。
例えばアーチェリーとかダーツとかって的があるじゃないですか。そこに10点とか、30点とか、50点とか狙うべき印(標)があるわけですよね。
要するに的なくして印(標)って存在しないんですよね。にもかかわらず、世のリーダーの方々は、例えば売り上げいくらあげるぞとか、あれをやるぞとか、これを達成するぞとか、こういう「目標で人を引っ張ろうとする」わけですね。
でも、人って目標では動機付けされないんですよ。目的にのみ動機付けされるんです。
嶋津先生の熱い語りに相槌も打てませんでしたが、すごく確かに!と思いました。つまり、これを埋めればいいわけですね!
そうですね。あるべき理想の姿の「ビジョン」と、マイルストーンとしての「目標」と、その裏側にある、何のため、なぜやり遂げる必要性があるのか?という「目的」…これを僕は3点セットで、明確にする必要があると思っています。
もう少し組織づくりの解像度を上げてみる
今サラッと3つの要素を説明したのですが、もう少しだけ具体的に話してもいいですか?
ふふふ、話し足りないのですね笑。是非聞かせてください。
ありがとうございます笑。少し図の解像度をあげると、こんな感じなんですね。
ビジョンとはつまり「最終目標」で、その目標は4種類あると思っています。
・いつまでにという「期日目標」
・どれくらいなのかという「定量目標」
・定量目標を達成したときに、どうなっているのかという「状態目標」
・理想の状態を作ることができたときに、社員はどんな感情であるのかという「感情目標」
ビジョン(最終目標)には、この4つの目標をしっかり立ててください。
一般的なマネジメントでいくと、どうしても目標で引っ張って、ニンジンぶら下げてみたいなところに、優先順位が上がりやすいと思うのですが、視点をもっと上げて、なぜそのビジョンを目指すのかが大切だと思います。
おお、一気にイメージが湧いてきました。
そして、緑で取り囲んでいる「ワンメッセージ」というやつですが、これは、今まで決めてきたものを、一言で表すという意味なんです。これを設定することで、ビジョンや会社の意図が圧倒的に社員に伝わりやすくなります。
一言ですか…ちょっと難しそうですね。
では次は、その辺のところを、もう少し詳しく話しましょうか。
是非おねがいします。
この章のポイント
・ビジョン・目的・目標の設定が大事
・目的がない目標に人は動かない
・ビジョンは最終目標であり、4つに分類され、それをしっかり決めるのが大事
嶋津式の組織マネジメントをもっと学びたい方へ
インタビューでは語りきれなかったより詳しい内容を網羅した、オンライン動画コンテンツを無料で提供しています。嶋津式の組織マネジメントをもっと学んでみたいという方は、ぜひ合わせてご覧ください。